スコットランド英語”maid”の発音~映画『Gosford Park』でじっくりとマンツーマン英会話(3)
関係がないと思っていた別々の事柄が、実は全てがどこかで繋がっていることに気づくことがあります。
映画『Gosford Park』で、スコットランド人のメイド役を演じた女優ケリー・マクドナルド(Kelly MacDonald)さんも、そう思わせてくれた人の一人です。
ケリーさんはスコットランド、グラスゴーの出身。 スコットランド出身の作家ジェームス・マシュー・バリー氏を描いた映画『Finding Neverland』にも出演されていました。映画の中に登場する舞台で、ピーターパンを演じています。そして、デビュー作はこれもスコットランド映画の『Trainspotting(トレインスポッティング)』です。
『Gosford Park』では、新人のメイド、メアリー・マキーシュランを演じています。ヘンリー・デントンが喋るいんちきスコットランド英語と、彼女の喋りを比べてみると、本物のスコットランド英語にはどんな響きがあるのか、その違いが分かるような気がします。
スコットランド英語では二重母音の/ei/が次のように変化します。
/ei/ ⇒ /e/
次の映像で、出演者が発音する”maid”に注意して聞いてください。他のイングランド人が
maid /meid/
と、発音しているのに対して、メリーは
maid /med/
と発音しているのが分かります。敢えて、カタカナで書くと「メイド」に対して、「メード」もしくは「メッド」と言っているように聞こえます。
また、イングランド英語にはない、スコットランド英語独特のイントネーションも印象に残ります。慣れてくると、それが妙に心地良くもあります。
– What do you expect from a woman without her own maid?
(メイドもいない女だもの。期待しちゃだめよ)
– Lady Lavinia says a woman who travels with no maid has lost her self-respect.
(メイドもなしで旅行する女は落ちぶれ者)
– She calls it “giving in.”
(ラヴィニア様の口癖よ)
– I don’t have a maid. I haven’t given in.
(私にはメイドはいないは。でも落ちぶれてはいない)
– That’s different.
(立場が違うわ)
– Why?
(どうして?)
– What’s your name?
(君 名前は?)
– I think here I’m called Trentham.
(ここでは、ミス・トレンサムて呼ばれていると思います)
– No, I meant your real name.
(本当の名前だよ)
– Oh. Mary. Mary Maceachran.
(メアリー・マキーシュランです)
– Blimey. What does Her Ladyship call you?
(うわ、難しい名前。伯爵夫人は君を何と?)
– Well, she should call me Maceachran, now I’m a lady’s maid. That’s what my mother says.
(名字を呼び捨てするのが普通と聞いていますけど)
But Her Ladyship can’t pronounce it, so she calls me Mary.
(発音しにくいので”メアリー”と)
– I don’t blame her.
(だろうね)
(*)
「given in」 = 「お手上げ」、「望みがない」
「blimey」 = 「これは驚いた!」「blind me!」を短縮した俗語、怒り、驚き、興奮などを表現します。
スコットランドに惹かれる理由は、垢抜けない純朴さからくる安心感にあるような気がします。そして、それをケリーさんが演じてくれているのだと思います。
※ETCマンツーマン英会話 イギリス出身の人気先生インタビュー
▽チャールズ先生(横浜・大坂上)
▽コリン先生(目白)
▽パトリシア先生(浮間舟渡)
▽アリソン先生(生田)
▽ジェンマ先生(代官山)
▽ジョン先生(等々力)
▽マイク先生(富ヶ谷)
※参考図書
▽英語音声学音韻論入門 (Philip Carr 著)
▽クラース イギリス人の階層 (ジリー・クーパー 著)