リズムを身に着けよう!『ライラの冒険』で英文ライティング

 

 If you want to write, you should read.
 書きたいのなら、読むべきです

 英文ライティングの力をつけるにはどうしたらよいのでしょう。ETC英会話のアーロン先生のアドバイスは、まず「読む」ことでした。

 「何を読むかは、何を書きたいかによって異なりますが、小説はお薦めです。語彙だけなく、会話の展開方法など、小説は英語の様々な表現方法を学ぶのに適した素材だと思います」(アーロン先生)

 そう言ってアーロン先生が薦めてくれたのは、おなじみJ・K・ローリング(J.K.Rowling)のハリー・ポッターシリーズ。彼女の英語は分かりやすく、比較的簡単だとのこと。

 そして、もう一人はフィリップ・プルマン(Philip Pullman)の『ライラの冒険/黄金の羅針盤』(His Dark Materials)です。物語自体は複雑ですが、会話がとてもシンプルで、なによりアーロン先生お気に入りの作品です。

 この『ライラの冒険/黄金の羅針盤』で作者のプルマン氏は、1996年にカーネギー賞とガーディアン賞を受賞。また同シリーズの第三話『琥珀の望遠鏡』では2002年にウィットブレッド賞児童文学賞を受賞し、児童文学として初めて最優秀賞も受賞するという快挙をなしとげています。

 2023年現在、ライラの冒険シリーズの3部作は、50カ国で2200万部以上を販売。2007年には第1部が映画化され、2019年からは全3部がテレビドラマ化されました。

Lyra and her dæmon moved through the darkening hall, taking care to keep to one side, out of sight of the kitchen.

ライラと彼女のダイモン(守護精霊)は、調理場から見えないように、うす暗い食堂の一方の壁際を慎重に進んでいった。

『黄金の羅針盤』(フィリップ・プルマン著、大久保寛訳) / The Golden Compass より

DR Maggie Aderin-Pocock(宇宙科学者)による朗読

As for Will’s father, he had vanished long before Will was able to remember him. Will was passionately curious about his father,
“Was he a rich man?”
“Where did he go?”
“Why did he go?”
“Is he dead?”
“Will he come back?”
“What was he like?”
The last question was the only one she could help him with. 

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父にいたっては、ウィルが物心つく前にすでにゆくえ不明になっていた。ウィルは、 父のことをいろいろ知りたくてしかたなかったので、よく母を質問ぜめにして困らせ たものだ。母は、その質問にほとんど答えられなかった。
「とうさんは金持ちだったの?」
「どこへ行ったの?」
「どうして行ったの?」
「死んだの?」
「帰ってくるの?」
「どんな人だったの?」
母が答えられるのは、最後の質問だけだった。

※Stig Abell氏(新聞編集者、ラジオの司会者)による朗読

 プルマン氏の作品の朗読を聞いていると、作品全体に心地よいリズムを感じることがあります。
 
 彼が6歳の頃のことでした。母親が『Just So Stories』(ラドヤード・キプリング/Rudyard Kipling著)をよく読んでくれたそうです。彼はその物語が大好きで、特に言葉の響きに魅了されたそうです。

Still ran Dingo–Yellow-Dog Dingo–always hungry, grinning like a rat-trap, never getting nearer, never getting farther,–ran after Kangaroo. He had to!

ディンゴはそれでも走った…イエロー・ドッグ・ディンゴは…いつも空腹で、ネズミ捕りのようにニヤニヤしながら、決して近づかず、決して離れ過ぎず、カンガルーを追いかけて走った。そうしなければならなかった!

「The Sing-Song Of Old Man Kangaroo」より

 母親が朗読してくれる本を、彼が初めて手にしたときのことです。本をめくっていくと、ページの上の小さな黒いもの(文字)が透明になっていくのを感じたそうです。そして、母親が何度も読んでくれたので覚えていた、言葉毎の音が聴こえてきました。意味が分からない単語もありましたが、言葉自体が持つリズムに酔いしれました。ページが音を記憶している。「これが読書なんだ」とその時彼は気がついたそうです。

 言語や言葉、書くこと、読むことに夢中になり始めたのは、おそらくこのときだったとプルマン氏は振り返ります。

 プルマン氏のような良書を読むことで、その文章のリズムが知らず知らずのうちに身に付き、いざ自分が書く時にそのリズムが良い文書が書けるように導き、助けてくれる。「書くためには読むこと」というアドバイスには、そういう意味があるのかもしれません。

 外国文学を読むことは、登場人物の顔を想像しづらいことなどから、個人的には苦手でした。他方『ライラの冒険/黄金の羅針盤』は、映像化されていることもあり、文章では分かりづらい事柄をイメージしやすくしてくれたり、なによりストーリー自体が面白いため、次はどうなるのかとワクワクしながら、次から次へと読み進めてしまいました。

 お勧めの読書方法は、最初に翻訳本を読んでものがたりを理解した上で、原書を読むこと。また、プルマン氏自らが朗読しているAudible版は、役者の方が総出演で、ラジオドラマを聴いてるようなドキドキ感がありお薦めです。

(*)関連リンク

※AIコンサルタントがお薦めの英文ライティング上達ツールは ― アーロン先生

[原書]
※His Dark Materials: The Golden Compass (Book 1) (English Edition)

[翻訳本]
※黄金の羅針盤〈上〉 ライラの冒険

[Audible版]
※The Golden Compass: His Dark Materials, Book 1 Audible Logo Audible版 – 完全版

・U-NEXTでシリーズ全編を視聴することができます。(31日間無料トライアル)
ダーク・マテリアルズⅠ / ライラと黄金の羅針盤

・2017年にBBCで放送されたフィリップ・プルマン氏のドキュメンタリー
Philip Pullman: Angels and Daemons (BBC)

・女優のジョージナ・モートンさんが朗読する「The Sing-Song Of Old Man Kangaroo」が楽しめます

 
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