90年代スコットランドの代表的な青春映画~Trainspottingで楽しみながらマンツーマン英会話
舞台はエジンバラ。登場人物の殆どがドラッグ中毒。やっていることはめちゃくちゃで、目を背けたくなるようなグロテスクな映像も。にもかかわらず、いつしか引き込まれ、気が付くと彼らに憧れさえも感じてしまう不思議な映画。この作品自体がドラック的な魅力を持っているのかもしれません。
タイトルの『Trainspotting(トレインスポッティング)』は、「(鉄道マニアが)列車、汽車を見ること」。映画では、「時間を無駄にする(‘wasting time)」という意味合いで使われているとのこと。
原作はアーヴィン・ウェルシュ作の同名の小説。『イギリス英語の裏表』(小林章夫 著)で、この原作本についてこんな解説をしてくださっています。映画の中では、このままの台詞ではありませんが、それでもとても印象的なシーンです。言葉とは裏腹に、祖国スコットランドを愛する気持ちがひしひしと伝わってきます。
「さて、この原作、スコットランド独特の英語が頻出する上に、主人公たちが「ドラック中毒」(junky)だから、やたらと俗語、隠語を連発する。そのためにこれを読むのは骨が折れる。ひとつ例をあげよう。
It’s nae good baliming it oan the English fir colonizeing us.
Ah don’t hate the English.
They’re just wankers.
We can’t even pick a decent, healthy culture to be colonized by.
No. We’re ruled by effete arseholes.
What does that make us?
The lowest of the fuckin’ low, the scum of the earth.
The most wretched, servile, miserable, pathetic trash that was ever shat intae creation.
(略)
’nae’はスコットランドの英語で’no’の意味である。だから、’nothing’は’naething’となる。発音は「ネーシング」といった感じである。’oan’は’on’ ‘fir’は’for’である。’wankers’は’wank’「自慰をする」から出た言葉。’areseholes’は’asholes’で、「どあほう」ぐらいの意味。’fucking’は’fucking’で、’intae’はスコットランドの英語が’o’を’ae’と綴る、ないしは発音すること (最初の’nae’もそうだ)からすれば、’into’だろう。
(略)
イングランド人に抑えつけられたからって、かりかりしてもしかたねーぜ。
あいつら嫌ったところではじまらねー。
やつら、ただのマスっつかきさ。
お上品でご健康なやつに抑えてもらうわけにゃあ、いかねーよ。
からからのマスっつかきに抑えつけられてるんだ。
で、どうなったかって?
さいてーもさいてー、ただの屑野郎だ。
この世でさいてーの惨めったらしい、あわれな屑なんだよ、おれたちは。」
『イギリス英語の裏表』(小林章夫 著)より
ちなみに、最後のほうで、女性二人が声を合わせてこう言っています。
What are you talking about?
スコットランド英語では、二重母音の/əʊ/が次のように変化するようです。
/əʊ/ ⇒ /u/
ですから、
about [əˈbaʊt]
が、
about [əˈbut]
敢えてカタカナで書くと、「アブゥト」のように聞こえます。
※参考図書
『イギリス英語の裏表』(小林章夫 著)
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