映画『The Magdalene Sisters』(マグダレンの祈り)でアイルランド英語

The Magdalene Sisters マグダレン保護施設(Magdalene asylum)のマンダレンは、マグダラのマリアから名付けられました。イエスの妻とも言われるマグダラは、キリスト教の会派によっては「罪の女」とも言われているとのことです。

 マグダレン保護施設が最初に作られたのは、1758年にイングランドに、アイルランドには1767年のことでした。娼婦や性的に不品行な未婚の少女を収容し、無報酬の労働をさせることで罪を浄化し更生させることを当初は目的としたそうです。

 しかし、18世紀末にはその目的は変容して行きます。収容所で実際に娼婦だったのはほんの一部に過ぎず、性体験さえ無い少女まで収容されていたとの事。未婚の母から生まれた子や無賃乗車のような軽犯罪を犯した少女、なかには実の父が亡くなり母が再婚したために、まるで邪魔者扱いのようにこの施設に送られてしまった子までいたそうです。(2013年2月6日Daily Mailより)

 やがて、マグダレン保護施設は無報酬で働く労働者を抱える洗濯場として、アイルランドの社会に組み込まれてゆきます。国によって設立され、管理は教会が行いました。同施設が閉鎖さえる1996年まで3万人が収容されていたと言われ、アイルランドの大手ホテル、軍隊、ギネスビール社までも同施設を利用していたとのこと。収容されていた少女達の人権は奪われ、神父や修道女による性的虐待やいじめが横行していたそうです。

 この施設の実態が明らかになったのは、1993年のこと。土地の投機を目的に同施設の一部が売却された際に、その場所から155名の収容者の遺体が発見されたことがきっかけでした。1997年には実際にマグダレン保護施設に収容されていた女性などに証言を収録したドキュメンタリ『Sex in a Cold Climate』が発表されました。

 Brigid Young, Phyllis Valentineは、15歳の時に「綺麗過ぎて男性と間違いを起こす可能性がある」という孤児院の修道女の判断により同施設に送られたそうです。Christina Mulgahyは婚外子を出産したこと、 Martha Cooneyはいとこにレイプされてしまったことで、それぞれマグダレン保護施設に送られてしまいます。

 映画『The Magdalene Sisters』で主演を務めたAnne-Marie Duffさんは、両親がアイランドからの移民、Nora Jane Nooneはアイルランド生まれ、Dorothy Duffyは北アイルランドの生まれです。彼女達の心からの叫びをアイルランド英語で是非じっくりと聞き取ってみてください。

(*)関連リンク
Ireland finally says sorry to the 10,000 ‘Magdalene Sister slaves’ of its Catholic workhouses who were locked up and brutalised by nuns

 
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