映画『Billy Elliot』(リトルダンサー)でニューキャッスル英語(北部訛り/ジョーディー英語)
イングランド北東部の炭坑町、ダラムに住む11歳のビリー。父は彼にボクシングを習うことを強要しようとしますが、なぜかスポーツには全くと言っていいほど興味がわきません。その代わりに彼の心を捉えたのは、ボクシング練習場の隣でたまたまレッスンが行われていたバレエ。ウィルキンソン先生は、彼に類まれの無い才能を見出して行きます。
さてこの映画は全編にわたり強い北部(ニューキャッスル)訛りで話されています。分かりやすい言い方をすると「スペルに忠実に発音する英語」とのこと。具体的にどのような特徴があるのか、列挙してみます。
- comeは[コム]、oneは[ウオン]、loveは[ロブ]、moneyは「モニー」に近い発音
- 「黙れ!」Shut it!も、shot itと聞こえる
- 「馬鹿言うな」を意味するFuck[フック] off!、Fucking [ フッキング ] ballet!、[フォック]とも発音する個所もある。
- 男性をlad、女性をlassと言う北部やスコットランド特有の表現が聞かれる。
- nothingのことをnaught、smallのことをweeと言っているシーンもある。これも北部特有の語
- Put it doun!(Put it down.)
- downのほか、about、townが[au]という母音をもたず、もっと口の開きを狭くして発音するので[ou]のように聞こえる
- a-boatと聞こえたら、aboutのこと
- You ‘ re [le:t].(You ‘ re late.)、mate[me:t]
- go、home、post(手紙)はそれぞれ[go:] 、[ho:m] 、[po:st]となる。
- 日本人も英語の二重母音[ei] 、[ou]を単母音化して発音することが多いが、イングランドでも地域によっては同じ現象がある。
- 語末の-ingの発音が、gの発音が落ちて[-in]だけになっている
- You ‘ re not concentratin ‘ . You ‘ re not even tryin ‘ .と言っている。ボクシングもboxin ‘
- Newcastle訛りでは、all、call、hallなど、語末に-allをもつ語は、つづり字に忠実な発音になって[-a:l]と発音される。
- セリフの中に余剰語のlikeとかmanという語がたびたび出てくる
- この2語は、特にイギリス北東部の訛り(一般にはGeordie訛りと呼ばれる)に特徴的
- 文中や文末で使われる likeは何か言おうとする前のポーズ(間)を埋める語で、情報的な意味はない。
- 例えば、I was just, like, standing there.など
- manは、自分の発言を強調したり、興奮して何かを述べる時に使われる。例えば、You must be joking, man!
さて、ビリーとウィルキンソン先生の会話のシーン。「月曜日に会いましょう」も「シー・ユー・モンディ・ゼン」と言っているのがはっきりとわかります。
それじゃ
Miss…what have I blown?
先生、”残念だ”って何が?
This’ll sound strange, Billy…but, for some time now, I’ve thought of the Royal Ballet School.
やぶから棒だけど、ロイヤル・バレエ学校を受けてみたらと
Aren’t you a bit old?
その年で?
No, not me. You. I’m the bloody teacher.
私じゃない あなたよ!私は先生よ
They hold auditions in Newcastle.
ニューカッスルでオーディションが
I’d never be good enough. I hardly know aught.
僕が?無理です。
They’re not interested in how much you know.
いろいろ学ぶのは入学してから
They’ll teach you. That’s why they’re a ballet school.
It’s how you move, how you express yourself that’s important.
問題は素質よ 動きでどう自分を表現するか
Express what?
表現する?
I think you’re good enough to go for it.
あなたには素質が
It would mean an awful lot of hard work.
でも練習は大変よ
But I’m banned.
父さんにダンスは禁止されてる
Maybe I should have a word with him.
私が話を
No, Miss!
やめて!
I could teach you on your own.
私が個人レッスンを
We couldn’t afford it.
そんな お金
I’m not doing it for the money.
だれがお金なんか
What about Dad?
父さんは?
He doesn’t need to know.
秘密に
What about boxing?
ボクシングは?
Listen, if you wanna piss about with your mates, that’s fine with me.
あながたいやなら忘れましょ!
All right, don’t lose your blob.
待って キレないで
“Blob”?
キレる?
So, we could do it private like?
こっそり練習を?
Just you and me.
2人だけで
Miss, you don’t fancy me, do you?
先生 僕に気があるんですか?
No, Billy. Funnily enough, I don’t.
いいえ 悪いけどないわ
Now, piss off.
消えて
Piss off yourself.
先生こそ
See you Monday, then.
じゃ、月曜日に