ウォーキングしながら英会話

Make two fists and join them together side by side. This is the size of your brain.
(両手でこぶしをつくり、向かい合わせにしてみよう。それが、あなたの脳の大きさだ)

 私たちの脳の大きさは25歳ごろがピークだそうです。脳細胞自体は一生涯つくられますが、それより早い速度で死滅してゆきます。記憶の中枢といわれる脳の器官「海馬」も、毎年約1%ずつ縮小します。加齢によって記憶が衰えるのはこのためです。長い間、縮小を止めることは不可能だと考えられていました。

 ところが、その定説をくつがえす研究結果が、2011年2月31日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に発表されました。

 55歳以上の人が適度な運動を1年間続けたところ、海馬の容積が増え、記憶力が向上したというのです。

 米国ピッツバーグ大学などの研究チームは、認知症がなく座りがちの生活を送る55~80歳の男女120人を集め、「ストレッチングのみを行う」グループと「ウォーキング(有酸素運動)を1日40分、週3日行う」グループに分けました。

 1年後、MRIで脳をスキャンすると、ストレッチングをしたグループの海馬は、1.4%縮んでいました。海馬は1年で約1%縮むのですから、特に驚く数値ではありません。

 研究者たちの目を引いたのは、有酸素運動をした被験者たちの海馬が、右側は1.97%、左側は2.12%も大きくなっていたことでした。

 これは運動することによって、脳の肥料といわれるBDNF(Brain-derived neurotrophic factor:脳由来神経栄養因子)の生成量が増え、海馬の成長を促したためだと考えられています。

※Exercise training increases size of hippocampus and improves memory
(運動は海馬のサイズを大きくし、記憶力を向上させる)

 書籍『The Real Happy Pill』(邦題『BRAIN 一流の頭脳』)の著者アンダース・ハンセン(Anders Hansen)は、暗記力を最大限に上げたいのであれば、運動と暗記を同時に行うことを勧めています。

 運動しながら(あるいはしてから)暗記をすると、何もせずに暗記した人よりも20%多く単語が覚えられたというデータがあるそうです。身体を動かすと筋肉の血行がよくなるように、運動をすると脳の血流もよくなるためではないかと著者は推察しています。

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 暗記に限っていうと、ウォーキングや軽いジョギングに最も効果が期待できるとのこと。他方、疲労を覚えるほど運動をすると、かえって逆効果になるそうです。

 英語を学ぶ私たちには、オーディオブックやラジオ講座を聴きながらのジョギング、英語の音声を聞いた後に即座に復唱するシャドーイングをしながらのウォーキングなどが効果的かもしれません。

 一方、新型コロナ感染症の影響で、以前のように気軽に外出がしづらい日々が続いています。また、長引くマスク生活で不自由さを感じることがあります。マスクを着用しながら運動をすると、息が苦しくなることもあります。

 WHO(World Health Organization:世界保健機関)によれば、コロナウイルスが人々の間に広がる主な要因として、「空気感染」「飛沫感染」などをあげています。

Current evidence suggests that the virus spreads mainly between people who are in close contact with each other, for example at a conversational distance. The virus can spread from an infected person’s mouth or nose in small liquid particles when they cough, sneeze, speak, sing or breathe. Another person can then contract the virus when infectious particles that pass through the air are inhaled at short range (this is often called short-range aerosol or short-range airborne transmission) or if infectious particles come into direct contact with the eyes, nose, or mouth (droplet transmission).

現在のところ、ウイルスは主に会話のできる距離など、密接に接触している人たちの間で広がることが示唆されています。ウイルスは、感染者が咳、くしゃみ、会話、歌、呼吸をしたときに、小さな液状の粒子となって口や鼻から広がることがあります。そして、空気中を通過した感染性粒子を近距離で吸い込んだり(これを近距離エアロゾルまたは近距離空気感染と呼ぶことが多い)、感染性粒子が目、鼻、口に直接触れた場合(飛沫感染)、別の人がウイルスに感染する可能性があります。
The virus can also spread in poorly ventilated and/or crowded indoor settings, where people tend to spend longer periods of time. This is because aerosols can remain suspended in the air or travel farther than conversational distance (this is often called long-range aerosol or long-range airborne transmission).

また、ウイルスが蔓延するのは、換気が悪く、人が多く集まる屋内環境でも起こり得ます。これは、エアロゾルが空気中に浮遊していたり、会話の距離よりも遠くまで移動することがあるからです(これはしばしば長距離エアロゾル感染または長距離空気感染と呼ばれます)。

People may also become infected when touching their eyes, nose or mouth after touching surfaces or objects that have been contaminated by the virus.

また、ウイルスに汚染された表面や物に触れた後、目、鼻、口を触ることでも感染することがあります。

(*) How does CONVID-19 spread between people? 
 (CONVID-19はどのようにして人の間で広まるのですか?/WHOホームページ)

 その上で、マスクの着用に関してWHOは「感染を抑え、命を守るための重要な対策」だとして推奨しています。

 それに加えて、マスク以外の予防対策としては「物理的距離の確保や、人混みや密閉空間、密に接触する場所の回避、十分な換気、手洗い、そしてくしゃみや咳をするときは覆うこと」などをあげています。

(*) Why should people wear masks?
 (なぜ、人はマスクをつけなければならないのか?/WHOホームページ)

 

 他方、運動中のマスク着用に関しては、「激しい運動時には呼吸能力が低下する恐れがあるため、マスクは着用しないようにしましょう」としています。

 その上で「他人から1メートル以上離れ」ること、屋内の運動であれば「充分な換気」「こまめな手洗い」「頻繁に触れる表面や器具をきれいに消毒」を心がけるよう強調しています。

 混雑していたり、換気に不安のある屋内での運動は避け、屋外などでも他人から1メートル以上離れることができない状況では、息苦しくならないように運動量を落とすなどして、マスクを着用するなどの調整が大切なのだと思います。

(*) Should I wear a mask while exercising?
 (運動中はマスクをしたほうがいいのですか?/WHOホームページ)

 

 マスク生活が子どもたちの脳と心に与える影響について、懸念の声をあげる専門家の方もいらっしゃいます。

 子どもたちは、生き生きと動く他者の表情全体を目にしながら、相手の顔を認識したり、その人の感情を理解したりする能力を発達させて行くそうです。

 他方、コロナ禍では、目の前の他者の表情がマスクで覆い隠されているため、子どもたちが表情を経験する機会が激減しているというのです。感染対策を図りながらも、子どもたちに学びの機会を提供していく難しさを訴えています。

 最近では、表情が見えることが大切な保育や介護の現場の声も反映して、飛沫防止対策も考慮した透明のマスクも増えてきました。

 感染予防に注意を払いながら、且つ心身を健全に保つための様々な工夫が求められる日々が続いています。皆さんはどんな工夫をされていますか?

(*) 参考図書
『The Real Happy Pill』(Anders Hansen)
https://amzn.to/3MnB6Gz

『BRAIN 一流の頭脳』(アンダース・ハンセン著、御舩由美子訳)
https://amzn.to/3FRcLXq

(*)参考リンク

(*)参照リンク
Why should people wear masks? (WHOホームページ)
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/question-and-answers-hub/q-a-detail/coronavirus-disease-covid-19-masks

なぜマスクをしなければならないのでしょうか?(WHOホームページ日本語訳)
https://extranet.who.int/kobe_centre/ja/covid/qa/q26_mask_2

コロナ禍が子供の脳と心に及ぼす影響 マスク社会のリスク(時事通信社)
https://www.jiji.com/jc/v4?id=2110myowa0001

顔がみえマスク(透明マスク)

 

 
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