5月の満月はFlower Moon
4月27日は今年2番目に大きな満月でした。「Pink Moon」(ピンクムーン)というそうで、北米の先住民が名付けたとのこと。満月だけでなく、次に満月が昇るまでの約1か月間の月の呼び名として使われていました。
「Pink Moon」の由来は、北米東部でこの時期に最初に咲く野草の芝桜(phlox)にちなんだもの。先住民はかつてグレゴリオ暦などのこよみを使用せず、代わりに季節の移り変わりと月を観察することで時間を記録していました。その呼び名は部族によって種々様々。同じ部族同士でも居住している地帯によって、呼び名は異なっていたそうです。
4月の月の名前には、春を連想させるものがたくさんあります。下記にその一部をご紹介します。
まずは、早春に氷が解けて動きやすくなることを意味する次のような呼び名です。どれも先住民の言語から英語に置き換えられています。
Algonquin(アルゴンキン族) -北アメリカに北東部に先住
・Breaking Ice Moon
(氷を割る月)
Sioux(スー族) – 北部中西部、ノースダコタ州、サウスダコタ州、ネブラスカ州等に先住
・Moon When the Streams Are Again Navigable
(川が再び航行可能になる月)
次は、まもなく始まる植物の成長を意味する呼び名です。
Tlingit(クリンギット族) – 太平洋岸北西部沿岸、南東アラスカ等に先住
・Budding Moon of Plants and Shrubs
(草木の芽生えの月)
Oglala(オグララ族) – 中央北部の大平原等に先住
・Moon of the Red Grass Appearing
(赤い草が表れる月)
そして、特定の動物が再び姿を現すことを意味する名前もあります。
Lakota(ラコタ族) – 中央北部の大平原等に先住
・Moon When the Ducks Come Back
(鴨が帰ってくる月)
Dakota(ダコタ族) – 北部中西部、ノースダコタ州、サウスダコタ州、ネブラスカ州等に先住
・Moon When the Geese Lay Eggs
(雁が卵を産む月)
Cree(クリー族) – 北部平原、カナダ等に先住
・Grey Goose Moon
(灰色の雁の月)
5月の満月は26日(水)です。Cherokee(チェロキー族:北米大陸の東部から南東部等に先住)等の呼び名は「Flower Moon」(花の月)。5月は月が地球に最も近づくため、今年一番大きな満月となる「Super Moon」(スーパームーン)でもあります。
5月は植物がいっせいに咲きほころぶ季節。まさにFlower Moonという呼び名がぴったりかもしれません。5月は動物に関する次のような呼び名もありました。
Arapaho(アラパホ族、ミシシッピ川より東部、ミネソタ州北部等に先住)
・When The Ponies Shed Their Shaggy Hair
(ポニーがボサボサの髪を落とす月)
Cheyenne(シャイアン族、ワイオミング、オクラホマ周辺等に先住)
・When The Horses Get Fat
(馬が太る月)
南東アラスカの先住民クリンキッド族の5月は、「Moon before breeding」(繁殖の月)。これは野生動物の妊娠がかなり進んだ状態を表しているそうです。そして翌月の6月は「Birth moon」(出産の月)。9月は「Child moon」(幼い動物の月)だそうで、これは幼い動物たちの離乳の時期を意味しているそうです。
自然界の生きとし生けるものがぐるぐると命を育んでいる様子を、月の満ち欠けというこよみに記してゆく。季節の変化を注意深く見つめる人々のまなざしを感じます。
ちなみに、日本の旧暦で使用されていた呼び名では、4月の卯月(うづき)。これは卯の花(うのはな/ウツギ)が咲く月。5月の皐月(さつき)は、早月(さつき)とも言い、早苗(さなえ)つまり稲の苗を植える月という意味だそうです。
先人たちの眼差しを通して、自然界を見つめなおしてみると、なにか新しい発見があるかもしれません。
(※)参照リンク
FULL MOON NAMES
https://www.almanac.com/full-moon-names
Native American Moons
https://www.wwu.edu/astro101/indianmoons.shtml