映画『Friday Night Lights』(プライド 栄光への絆)でアメリカ・テキサス英語マンツーマンレッスン
映画の原作『Friday Night Lights』(H・G・ビッシンガー著)の翻訳者あとがきに、こんな言葉ありました。
“「アメリカには三つのアメリカがある」という言葉がある。
それは、「ニューヨークとカリフォルニアそしてアメリカ」だ。ビッシンガーが捜し求めたのは、その最後のアメリカ、すなわち人口的にも文化的にも多数を占めながら、私たちはもちろんアメリカ人すら見失いがちなアメリカの深部だった。”
テキサス州の面積はアラスカに次いで全米第2位の広さの約70万km2(日本列島のほぼ2倍)、人口もカリフォルニアに次いで第2位の約250万人です。アメリカ全土に占める広さから見ても、またアメリカ人と呼ばれる人たちの人口や多さから判断しても、テキサスはアメリカと言う国を理解するために重要で忘れてはいけない要素のひとつであることは間違いないようです。
この物語の舞台はテキサス州オデッサ。1920年代に石油と天然ガスが産出されてから、好不況のサイクルを果てしなくくりかえす石油町となります。
1982年まで、オデッサには3つのハイスクールがありました。99%がマイノリティのエクター・ハイスクール(黒人298名、ヒスパニック463名、白人9名)。町で一番古く、93%が白人のオデッサ校。そして新興地に設けられ99%が白人のパーミアン校。教育人種差別撤廃のため、本来ならば3校の人種比率を均等にするように、生徒の再編成をするのが本来の形でしが、その手段はとられませんでした。その代わりに、マイノリティの生徒が大半を占めるエクター・ハイスクールを閉鎖。生徒たちはパーミアンとオデッサに分散編入されることになりました。
そのときに町の人々の関心を集めたのは、どちらの高校がどれだけの黒人フットボール・プレーヤーを確保するかでした。新たな通学区案には不可思議なジグザグのラインが引かれていました。そのラインの引き方は差別撤廃の趣旨にかなうものでもなければ、学業目標を達成するもでもありませんでした。人種の適正な配分などとは無縁で、パーミアン校がライバルのオデッサ校より多くの黒人ランニングバックを確保するためのものでしかなかったとも言われているそうです。
さらに、この町で人々を隔てていたのは人種の違いだけではありませんでした。オデッサと同じように石油で生計を立ててきた隣町ミッドランドとの対立についても、原作は語っています。オフィス用地の潤沢なミッドランドには東部出身、名門の私立高校を卒業し、さらにエールやハーヴァード、プリンストン、MITで学んだ企業の司令部が集まり、オデッサには油田で汗を流す労働者が集まりました。彼らは全く別の種族でした。そして、この対立する人々の両方から上手く支持を取り付けたのが、かつてこの町で暮らしていたジョージ・ブッシュ元大統領でした。
ビッシンガーは映画の解説の中で次のように語っています。
「映画化をすると原作の要素が失われることが多い。 この原作では人種差別を取り上げている。映画は掘り下げガたりないという意見があったけど、さっきのシーンで、あの女性は黒人のことをニガーと呼んでる。この映画は、当時あった差別をちゃんと描いているんだ。今のハリウッドではこれが限界だよ。 これ以上やってわざわざ観客を怒らせることはない。 」
映画の中でこの差別語が使われたのは、この場面一箇所だけでした。ハリウッドで制作される映画は、様々な規制を受けながら生み出されるものなのでしょう。その制約の背後に潜む作者の真意を探し当てること。それが映画の楽しみ方法、映画の作り手の心に触れる方法なのかもしれません。
さて、テキサス英語は母音を長く引き伸ばして発音されるため、次のような単語が同じ音に聞こえることがあります。
pull – pool
fill – feel
sell – sale
次の場面は、パーミアン校にとってシーズン最後の試合。ゲインズ監督のスピーチです。
My heart is full.
と言っている部分が、
My heart is fool.
と言っているように聞こえます。
Well, it’s real simple. You got two more quarters and that’s it.
話は簡単。残りは2クォーターで30分だ。
Now most of you have been playing this game for ten years.
10年間、プレーしてきたろう。
You got two more quarters and after that most of you will never play this game again as long as you live.
あと2クォーターで大部分の者がこの競技とお別れだ。
You all have known me for a while and for a long time now, you’ve been hearing me talk about being perfect.
私はずっと完璧とうい言葉を使ってきた。
Well, I want you to understand somethin’.
分かって欲しい。
To me, being perfect is not about that scoreboard out there.
私にとって完璧とはスコアボードに出る結果のことじゃない。
It’s not about winning.
勝利とは違う。
It’s about you and your relationship to yourself and your family and your friends.
君達やその家族、友達との関係のことだ。
Bein’ perfect is about being able to look your friends in the eye and know that you didn’t let them down.
完璧であれば、友達の目をまともに見て、失望させてないと自信をもてる
Because you told ‘em the truth.
誠実な生き方だ。
And that truth is, is that you did everything that you could.
There wasn’t one more thing that you could’ve done.
誠実とはやれることは全部やったとういこと。
Can you live in that moment as best you can with clear eyes and love in your heart?
そう生きられるか?ベストを尽くし、澄んだ目と愛情を持ち続けろ。
With joy in your heart?
生きる喜びもだ。
If you can do that, gentlemen, then you’re perfect.
それができれば、完璧だ。
I want you to take a moment and I want you to look each other in the eyes.
今ここでもって互いの目を見てみるといい。
I want you to put each other in your hearts forever.
相手を心に焼き付けろ。
Because forever’s about to happen here in just a few minutes.
永遠に輝く試合が始まるぞ。
I want you to close your eyes and I want you to think about Boobie Miles, who is your brother.
目を閉じて、ブービーのことを考えてくれ。彼は兄弟で
And he would die to be out there on that field with you tonight.
この試合に出たがっていた。
And I want you to put that in your hearts.
それを心に留めろ。
Boys, my heart is full.
私は胸がいっぱいだ。
My heart’s full.
胸がいっぱいだ。
(*)参考図書
・『フライデー・ナイト・ライツ』(H・G・ビッシンガー著)