映画『Dead Man Walking』(デッドマン・ウォーキング)で南部アメリカ英語マンツーマンレッスン
舞台はルイジアナ州。尼層シスター・ヘレン・プレイジェーンを演じるSusan Sarandon(スーザン・サランドン)はニューヨーク州出身、死刑囚マシュー・ポンスレットを演じるSean Penn(ショーン・ペン)はカリフォルニア州出身。二人とも南部の出身ではありませんが、映画では南部アメリカ英語で演じています。名優が演じる南部訛りは、その特徴が強調されていて、英語学習者にとってはかえって分かりやすいのかもしれません。
減刑を望むマシューからシスターに手紙が届きます。
“thank you for writing to me.”
(手紙を有り難う)
writeの二重母音が短母音となり、文末の-ingのg音が抜け落ちて、”writing”は”rahtin”の様に聞こえます。典型的な南部アメリカ英語の特徴です。
映画は死刑制度に対して疑問を投げかけるもの。陪審員制度が施行された日本においても、身近な問題として考えてみる必要があるのではないでしょうか。そして、その犯罪の背景には貧困問題があります。再審裁判においてヒルトン・バーバー弁護士が次のように訴えます。
Ladies and gentlemen, let’s be honest.
You’re not gonna find many rich people on death row.
(死刑囚に金持ちはいない。これは事実です。)
Matthew Poncelet’s here today because he’s poor.
(マシューも貧しかったから、今日ここにいるのです。)
Didn’t have money so he had to take what the State gave him.
(お金がなかったから、公選弁護人しか付かず)
He got a tax lawyer who’d never tried a capital case before. An amateur.
(それも極刑事件は初めてという税理専門のアマチュア弁護士)
The jury selection took four hours. The trial lasted five days.
(陪審の心理は4時間。裁判はたった5日間。)
The lawyer raised one objection the entire trial.
(弁護士が異議を申し立てた回数はたった1度)
Now, if Matthew had himself Man Walking some money well, he could’ve hired a team of crackerjack lawyers
(もしマシューに金があったら、すご腕の弁護士を数人チームで雇って)
and they would have hired top-notch investigators, a ballistics expert …a psychologist to compile profiles of desirable jurors.
(さらに私立探偵弾道分析のプロ、有利な陪審員を上手に選ぶ心理学の専門家)
And you can be sure Matthew Poncelet wouldn’t be sitting here today before you asking for his life.
(そうなってれば、マシューは今日の特赦の嘆願などしてなかったはずです。)
お金があれば死刑さえ免れることができた可能性があることを訴え、そのような不公平な状況で死刑制度が適用されることの不条理を訴えています。ヒルトン・バーバー弁護士の英語には南部訛りは感じられません。弁護士と被弁護人、その英語の違いに触れることも、理解できる英語の幅が広がるよいきっかけになりそうです。
▽”Dead Man Walking” trailer