映画『The Gift』(ギフト)で南部アメリカ英語マンツーマンレッスン

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 これから起こることが見えたり、別の場所で起こったことが感じられたり。アニーにはそんな力がありました。映画の中で彼女は”psychic”(霊能力者、超能力者)という言葉で呼ばれています。

 このpsychicという言葉の語源はどのようなものなのでしょう?

 psycheとは、psykhein(息をする)から派生したギリシャ語psykhe(息、命、魂)を擬人化した言葉。ギリシャ神話に登場する美しい女王プシュケ(Psyche)のことです。

 女王プシュケは美しすぎるがために結婚には縁遠い日々を送っていました。そんな彼女の両親に「娘に花嫁衣裳を着せて山の頂に置き去りにせよ」という神託が下ります。神の言葉に従い山頂に残されたプシュケは、風に運ばれ、豪華な宮殿へと導かれます。そしてその夜、神託の告げた夫が側にいるのを感じます。夫は新妻に「決して私の姿を見てはいけない」ということを約束させます。夫は夜ごとに現れ、夜明け前には帰って行きました。

 ある夜プシュケはロウソクの灯りを照らして夫の姿を見てしまいます。そこにはアプロディテの息子、愛の神エロスがいました。そのときロウソクの蝋が一滴エロスに落ちたため、彼は目を覚まし去って行きます。プシュケは夫を探し、義母のアプロディテに居場所を尋ねますが、義母の怒りは凄まじく、激しくののしられ、鞭で打たれ、さらにいくつもの試練を与えられます。

 その試練とは、たった一日で小麦や粟、黍などが混在した穀物の山を種類別に分別する、凶暴な牡羊から金色の毛を刈り取る、生命の泉の水を汲んでくるなど、彼女ひとりでは成し遂げられないようなものばかり。ところが毎回、蟻や鷲などの不思議な協力者が現れ、彼女を助けます。幾多の試練を乗り越えたプシュケの元にエロスが戻り、プシュケ(魂)とエロス(愛)は結ばれ幸せに暮らすことになります。

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ジョージア州

 映画では、この不思議な力によって行方不明者の居所を透視してしまったアニーが、法廷で証言をすることになります。次の動画では、原告側の弁護士ダンカンが、この力を”psychic”と言っているのに対して、被告の弁護人ジェラルド・ウィームスはillicit power(社会一般で認めらていない力)という表現を使っていることからも、霊能力に対する双方の捉えかたの違いが分かります。ウィームス弁護士はアニーの霊能力をテストしようとします。

 舞台は、ジョージア州のとある小さな町。ウィームス弁護士の”Can everyone in the jury box see how many fingers I’m showing?”という台詞を注意して聞いてみてください。Can everyone(キャ~ン・エヴリワン)、I’m showing (ア~ム・ショ~イン)等と、独特の言い方になっています。南部アメリカ英語の特徴、Southern drawlと言われる母音を長く引き伸ばし気味に発音しているのが分かります。

David Duncan:
How do you provide for you and your sons?
(生活費はどのように?)
Annabelle ‘Annie’ Wilson:
I get a little bit of money from Social Security as a result of my husband’s death.
(社会保障制度からお金が少し。夫がなくなったので。)
And I… I also give readings.
(それから、カードを読むことも)
David Duncan:
Psychic readings? 
(霊能力者として?)
Annabelle ‘Annie’ Wilson:
Yes, sir.
(はい)
David Duncan:
What does being psychic enable you to do?
(どのような能力があるのです?)
Annabelle ‘Annie’ Wilson:
I see things and I, you know, I sense… things that hadn’t happened yet or they happened someplace else.
(物が見えたり、感じたりします。まだ起きていないことやよそで起きたことをなどを)
My granny told me that I… I had a gift, that it runs in my family.
She told me I shouldn’t be afraid of it,
(祖母が天から授かった霊感だから”恐れはいけない”と言いました。)
I should just always use my instinct and I’d be all right.
(感じたままを信じればいいのだと)
David Duncan:
So you’re swearing before this court that you didn’t get your information from any other means than your special ability, your gift?
(誓えますね?遺体の場所がわかったのは特別な才能、つまり”霊感”のおかげだと
Annabelle ‘Annie’ Wilson:
Yes, sir, I’m swearing that, yes.
(はい。誓ってそうです。)
David Duncan:
Thank you, Mrs Wilson. I have no further questions.
(ありがとう。以上です。)
judge:
Mr Weems.
Gerald Weems:
Mrs Wilson, how many fingers am I holding up behind my back?
(ウィルソンさん、背中の指は何本です?)
David Duncan:
Objection, your honor!
(意義あり。)
Gerald Weems:
Your honor, my client is sitting in this court on trial for his life partly because of powers this woman claims to have.
(被告の命がかかっています。)
Now in all fairness, we believe we should be given the opportunity to test the illicit powers instead of having and standing here to take her word for it!
(きっかけはこの女性の超能力です。事実かどうか試すチャンスを与えられるべきです。でないと信じられません。)
judge:
You have a good point. Objection overruled.
(そのとおり。意義を却下する。)
Gerald Weems:
Can everyone in the jury box see how many fingers I’m showing?
(陪審の皆さんは私の指が見えますね?)
How many fingers, Mrs Wilson?
(指は何本ですか?)
Annabelle ‘Annie’ Wilson:
I don’t know.
(わかりません。)
Gerald Weems:
You don’t know?
(わからない?)

(*) 参考図書
ギリシア神話 (図解雑学)
シップリー英語語源辞典

 
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