英仏の通訳、ソルボンヌ大学での経験を行かして – グレンダ先生(田町・品川[カフェレッスン]) ETCマンツーマン英会話
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Q 先生はソルボンヌ大学で二つの学位を取得されるなど、たいへん優秀な経歴をお持ちですね。現在は英仏の通訳として活躍をされていらっしゃいます。お生まれはどちらなのですか?
生まれはブラジルのリオデジャネイロです。母はブラジル人、父はフランス人。でも、読み方、書き方、話し方を最初に学んだ言葉は英語でした。英語は幼稚園の頃からブリティッシュスクールで学びました。父はクラシック音楽の指揮者で世界各国を飛び回っていましたので、子ども達を含め私達家族は皆英語でコミュニケーションができる必要があったのです。
Q ブラジルの母国語、ポルトガル語よりも先に英語を学んだのですか?
そうなんです。学校で英語を話し、家庭ではポルトガル語とフランス語を話すという環境で育ちました。苦労したのはポルトガル語を学び始めた頃です。
随分とたくさんの間違いをしました。ポルトガル語で「s」と綴るべきところを、すべて英語風に「z」で綴ったりしていまいた。例えば、「ブラジル」は英語では「Brazil」と綴りますが、ポルトガル語では「Brasil」となるのです。幸運だったのは、母がポルトガル語の教師だったこと。私が間違えるたび母が厳しく指導をしてくれて、正しいポルトガル語を教えてくれたのです。
Q 先生がこうやって外国語を教えるようになったのも、お母様の影響なのかもしれませんね。お母様から「教える喜び」を学んだのではないでしょうか。
そうだとおもいます。母は父にもポルトガル語を教えていました。そのおかげで、父は今ではとても自然なポルトガル語を話します。母は教えるのがとても上手でした。
13歳のときにフランスに移りました。当時はあまりフランス語を話せませんでしたので、一から学びなおす必要がありました。とても苦労をしましたが、私自身、読むことが好きということもあり、一年間でフランス語でもコミュニケーションが取れるようになりました。
Q 英語、フランス語、ポルトガル語。頭の中で考える時は、どの言葉を使うのですか?
三ヶ国語で夢を見ることもあります。一番自然に出てくるのはフランス語です。日本人の夫が流暢なフランス語を話すため、家庭内ではフランス語で話します。フランス語は我が家にとって最も大切な言葉になっています。また、私は勉学をフランス語で行ってきましたので、理論的に考える際もフランス語になります。
一方、子どもの頃のことを回想するとき、たとえば祖母のことを思い起こすときなどはポルトガル語になります。興味深いのは、現在私は日本語を学んでいるのですが、そのときはなぜか英語で考えているのです。特別な感情や思い出、様々な経験や体験がそれぞれが異なった言葉に複雑に関連付けられているようです。
Q 先生の英語教育に関する職歴についてお聞かせください。
フランス国立高等研究院(EPHE-Sorbonne)で、主にソルボンヌ大学の卒業生に対して英語によるコミュニケーションとスピーチ等について教えていました。研究分野において輝かしい成果を挙げているにも関わらず、いざ英語で説明をするとなると問題を抱えている人が多数いるのです。プロフェッショナルで効果的なプレゼンテーションの仕方、ディスカッション、ディベート、交渉の方法、文法力、語彙力の向上に焦点を当てて、三年間指導していました。
Q 日本人の多くは学校で長い間英語を学んでいるにも関わらず、実際に海外に行くとネイティブスピーカーの言葉が理解できず、ショックを受ける人が多数います。
語学力を向上させるには、二つの重要なアプローチがあります。まず、実際に他の人々と意欲的にコミュニケーションを取るということ。このアプローチによって、「生きている」言葉がより「活き活き」とする、つまり、日々の会話で使える自然な英語が身につくようになります。一方、文法やボキャブラリー、発音などについては、先生との会話レッスンを通して、じっくりと指導・支援してもらうというアプローチが必要です。この二つのアプローチを両輪として学んでゆくことが大切だと思います。
Q 最後に先生の趣味について教えてください。
音楽を聞くこと、旅行、乗馬、ダンス、映画鑑賞など。日本映画では、古い作品ですが溝口健二監督の映画が好きです。
Q 溝口健二監督ですか?日本の若者があまり知らない方をご存知なのですね。
パリには古い日本映画のコアなファンがけっこういるのです。その中でも溝口健二監督の映画等はとても人気があるんです。日本のテレビ番組で最初に見たのは『北の国から』でした。日本の文化や生活様式等に触れることができ、とても興味深い作品でした。
[了]
(*)現在諸事情により付近の駅のカフェでのレッスンとなっております。
しばらく自宅では行えませんので予めご了承ください。