イースターにウサギが登場する理由

Appropriately, the annual Christian holiday commemorating the resurrection of Jesus Christ, thus the renewal of spirit, is always held on the first Sunday after the first full moon after the spring or vernal equinox.

(キリスト教の祭日は、イエス・キリストの復活と精神の再生を記念して、春分の日の後の最初の満月の後の最初の日曜日に行われる)

====
(*)
commemorating  ~を記念して
resurrection  復活
renewal 再生
the spring or vernal equinox.春分 (the vernal [spring] equinox、Vernal Equinox Day)
====

 今年春分の日は3月21日です。その後の最初の満月は4月17日。この日はちょうど日曜日にあたります。ということで、今年のイースター(Easter、復活祭)は4月17日に行われます。

 元々イースターはキリスト教にとっては異教徒である古代サクソン人の「女神イースター(Eastre)」の祭典でした。

 初期のキリスト教の伝道者たちは、キリスト復活の奇跡が起こった時期と、大昔から行われている春の祭典イースターの時期が偶然一致していることに目をつけました。

先生の自宅でゆったりマンツーマン英会話プライベートレッスン
オンラインレッスンも!
サービス内容・授業料時間・場所・その他条件にあった先生のお問い合わせはお気軽にどうぞ

 でも、彼らはすでに定着している習慣を無理に変えさせようとはしませんでした。その代わりに、時間をかけて異教の祭典をキリスト教の儀式に変化させてゆく努力を積み重ねたそうです。

 古代サクソン人にとって女神イースターとは、「春と夜明けの女神」であり、「豊穣と再生の女神」でした。そして、女神の地上における姿は「ノウサギ」だと信じられていました。これが、現在のイースターにウサギ(Easter Bunny)が登場する由来です。

 異教の祭典では、長く続いた暗い冬の後に、生命の息吹が訪れるようにと、女神イースターに食の儀式が捧げられました。人々は大地の豊穣を願い、甘く味付けされた小さなパンを焼いて食べました。パンはたいせつに貯蔵された穀物(おそらく小麦やライ麦など)と蜂蜜で作られました。

 このパンが、聖金曜日(Good Friday、イースターの3日前の金曜日)に食べる十字型つき菓子パン、ホット・クロス・パン(Hot Cross Buns)の由来だそうです。

 この儀式用パンは、元々は男根のシンボルの形に似せて作られたとか、パンの表面に記された十字型は、生け贄として捧げられた雄牛の角の形を表していたとか、諸説あるようです。それらの形状は、キリスト教をよりイメージする十字に変わっていきました。

Hot cross buns - fig and pecan.jpg

 ウサギをシンボルとするイースターがアメリカに伝わったのは18世紀のことでした。ペンシルヴェニアに移住してきたドイツ人によってもたらされました。

 しかし、当時のアメリカ人は、ほとんどが長老派信徒、清教徒、クウェーカー教徒といった宗教的にたいへん厳格な人々。ウサギをシンボルとするようなうわついた祭りには、賛成しなかったそうです。

 イースターがアメリカで受け入れられるようになるのは、それから百年先となる南北戦争以後のことでした。多くの兵士の生命を奪い、国土を疲弊させた戦争が終わり、人々はなにか気持ちを奮い立たせてくれるものを求めていました。

 そういう中で、長老派の人々が中心となり、復活祭の実施が推し進められていったそうです。悲しみに沈む遺族の希望のよりどころになるだろう、という考えに基づくものでした。

 イースターのプレゼントとして交換される、チョコレートやキャンディーで作られた卵、イースター・エッグ(Easter Eggs)が登場するのは19世紀に入ってからのことでした。そもそも、卵ははるか昔から「新しい生命と復活の象徴」とされていました。

 イースターは、キリスト教徒ではない人々にとっては、あまりなじみのないものかもしれません。

 でも、亡くなられた方々に馳せる想いや、長く暗い冬の時代を終えて、新しい季節を待ちわびる私たちの気持ちを重ね合わせることで、イースターを祝う人々の心に触れることができるかもしれません。

(*)参考図書
『Extraordinary Origins of Everyday Things』Charles Panati

(上記の翻訳本)
『はじまりコレクション1 いわゆる”起源”について』チャールズ・パナティ著

『The Magic in Food: Legends, Lore and Spellwork』Scott Cunningham

(上記の翻訳本)
『マジカルフードブック―食べ物の魔法事典』スコット カニンガム著

 
先生の自宅でゆったりマンツーマン英会話プライベートレッスン
オンラインレッスンも!
サービス内容・授業料時間・場所・その他条件にあった先生のお問い合わせはお気軽にどうぞ