『Veronica Guerin』(ヴェロニカ・ゲリン)でアイルランド英語

ETCマンツーマン英会話 『サンデー・インディペンデント』紙の女性記者、ヴェロニカ・ゲリンという実在の人物の半生を描いた物語です。アイルランドのダブリンで、麻薬犯罪を追及し、1996年6月26日に犯罪組織によって6発の銃弾で射殺されました。

出演者はヴェロニカ・ゲリンを演じたオーストラリア人のケイト・ブランシェット以外、皆アイルランド出身。本格的なアイルランド英語に触れられる映画の一つかもしれません。ケイト・ブランシェット自身も、生前のヴェロニカ・ゲリンを話し方も含め徹底的に研究したとこのこと。残念ながら本編ではカットになってしまいましたが、DVDの特典映像に納められたジャーナリスト保護委員会(CPJ: Committee To.Protect Journalists)によるプレスフリーダム受賞スピーチのシーンでは、本人の仕草、つなぎの言葉などもそっくりであることが分かります。

上の音声はその時の本人のスピーチです。映画のケイト・ブランシェットと比べてみてください。

Thanks, Leslie.

I really am both humbled and honored to receive this award, particularly because of the company that I’m keeping here. The other recipients, I certainly feel, are more deserving than myself.

I’m accepting this award on behalf of myself and particularly on behalf of my colleagues in the Sunday Independent who have encouraged me and supported me in my investigative work whilst I’ve been working in the paper.

It is very unusual to hear that an Irish reporter has been shot or intimidated. Unfortunately, because of the ever-rising crime problems in Ireland, a number of reporters — not just myself — have been subjected to death threats and to intimidation on a daily basis. So, for my colleagues in other newspapers and in the broadcast media, I’m grateful that the CPJ [Committee to Protect Journalists] have decided to honor an Irish and European journalist.

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Unfortunately, in — in Ireland, journalists there also have to face the — the threat of possible imprisonment. And I welcome this opportunity to highlight the appalling case of a colleague of mine who works in the Irish Independent. And she, too, is facing, like Fred M’membe, here — she’s facing a possible jail sentence. And the reason that she’s facing possible imprisonment is because she published a document which was widely circulated in the — within the police force in Ireland about the suspects of the bank robbery which I reported the day before my — which I reported on the day before my shooting.

Now, Liz Allen is — is my colleague who’s facing a possible jail sentence. She’s — it’s alleged — [breached the] The Official Secrets Act. We have to face, you know, we write under ridiculous restrictive laws in Ireland. It’s a wonderful country, great place to visit, but unfortunately for journalists the most difficult thing that we have to work within are our restrictive libel laws. It’s difficult for our publishers because they’re the people who have to pay the lawyers the massive amounts of money on a daily basis in courts.

These are the issues that I feel that I have to highlight here. It’s not the fact that journalists may be shot. But it is the “legitimate” restrictions that we work within. And I thank you, I thank the Committee for The Protection of Journalists for giving me the opportunity to highlight this.

I really am humbled and honored to accept this award. In doing so, I want to thank two people who have encouraged me, despite an incredibly difficult last twelve months. And they are my husband, Graham, and my son, Cathal. Because I can assure you that if they hadn’t supported me, I wouldn’t be doing it.

Thank you very much

ありがとう、レスリー。

この賞を受賞することは身に余る光栄です。この会場には私よりもはるかに賞に値する記者が集まっているからです。

私はこの賞を私自身とサンデー・インデペンデントの仲間に捧げます。私が調査に専念しそれを記事にできたのも、彼らの励ましと支えのお陰です。

アイルランド記者が襲撃を受けた話を聞くのはまれでしょう。残念なことにアイルランドの犯罪増加に伴い私だけでなく、多くの記者が日常的に命を脅かされています。母国の他の新聞社や放送メディアのためにも、アイルランドの記者に賞を与えてくれたCPJに感謝します。

不幸にもアイルランドでは記者は投獄されるリスクを負いながら取材をしています。この場をお借りして、私の知人である1人の新聞記者の話をします。彼女もここにおられる男性と同様に実刑判決が下される危機に直面しています。そのような危機に直面した原因は銀行強盗の容疑者に関する文章を発表したからです。それはアイルランド警察内で流布していた文章でした。

私はこの事実を襲撃を受ける前日に報道しました。判決の危機にある女性の名はリズ・アレン、公職秘密違反の容疑がかかっています。アイルランドの記者は理不尽な法に縛られています。すばらしい国で観光には最高ですが、この国の名誉毀損法は記者の障害となっています。弁護士費用を負担するのは新聞社なので、新聞社の記事が発行を渋るケースが生じます。

これらが私が提起したい問題です。問題は記者が撃たれるか否かではなく、記者が置かれている状況にあるのです。これらの問題を取り上げる機会を与えてくれたCPJに感謝します。

授賞を心から光栄に思います。最後にここで苦悩に満ちたこの一年の間、私を指させてくれた2人に感謝の言葉を。夫のグレアムと息子のカハルです。今の私があるのは2人のお陰です。

ありがとう。

彼女は、同僚の例を挙げ、アイルランドの記者は投獄されるリスク負いながら取材をしていると訴えています。同僚が問われているのは公職秘密違反。日本でも、同様に記者達を萎縮させる危険性をもった法令が制定されようとしています。私たちは、今一度このヴェロニカ・ゲリンの言葉に耳を傾ける必要があるのではないのでしょうか。

彼女のように脅され、襲撃されたジャーナリストは他にも数多くいるはずです。ジャーナリスト保護委員会によれば2012年に殺害されたジャーナリストは73名とこと。その一人ひとりに、『Veronica Guerin』に匹敵するような物語があるに違いありません。大量に流れてくる雑多なニュースの中から本当に見つめなければいけない事柄を、私たちは自ら探し出す必要があるのです。

ヴェロニカ・ゲリンを殺害した犯罪組織の首謀者ジョン・ギリガン(John Gilligan)は、麻薬取引の罪で28年の刑を宣告されたと、映画は伝えています。ところがその後20年に減刑。そして、なんと17年後の2013年10月15日に釈放されました。

(*)参照リンク
Veronica Guerin
International Press Freedom Award Acceptance Address, delivered 1995, New York

 

 
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