映画『Mississippi Burning(ミシシッピー・バーニング)』で南部アメリカ英語マンツーマンレッスン

mississippi_burning.jpg free(自由)の語源をご存知でしょうか?古英語freon(愛する)が語源で、この動詞の現在分詞freondはfriend(友)の語源となっています。昔の家は、愛する者たちと奴隷からなっていたので、freeは「奴隷にされていない」を意味するようになったそうです。

 では、freedomの意味は?kingdom(王国)、stardom(スターの地位)などからわかるように、-domという接尾語をつけることで、「地位」、「階級」など意味する言葉となります。つまりfreedomには「奴隷ではない地位・階級」という意味合いを感じることができると思います。

 日本語の「自由」のように「心のままであること」もしくは「勝手気ままに」という意味でfreeという言葉を捉えると、その言葉の重みを感じ入ることができなくなってしまうかもしれません。

 映画『Mississippi Burning(ミシシッピー・バーニング)』は、1964年のFreedom Summer(フリーダム・サマー)とういう運動に際して実際に起こった殺人事件を題材に作られた作品です。

 Freedom Summerとは1964年6月、ミシシッピー州の黒人たちに選挙権登録を推進しようとした公民権運動です。この運動に関わっていた三人の若者、James Chaney(ジェイムズ・チェイニィ、20歳、黒人、ミシシッピー), Andrew Goodman(アンドルー・グッドマン、20歳、白人、ニューヨーク) 、そしてMichael Schwerner(マイケル・シュワーナー、24歳、白人、ニューヨーク)がミシシッピー州フィラデルフィアを訪れた際に、K.K.Kである保安官と保安官補にスピード違反で逮捕された後、K.K.Kのメンバーに引き渡され殺されてしまいました。

 映画では二人のFBI捜査官がK.K.Kに勇敢に立ち向かい犯人を全員逮捕し無事解決となりますが、実際の事件はどうだったのでしょうか。2005年、事件からなんと41年を経た後に、K.K.Kの首謀者だったEdgar Ray Killen(エドガー・レイ・キリン、判決時80歳)が殺人の罪で有罪判決が下されました。

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 下記の動画ではこの事件で兄を失ったBen Chaney(ベン・チェイニー)、David Goodman(デイヴィッド・グッドマン)がDemocracy Now!に出演し、事件から今日までの出来事、体験を語っています。

 この事件で兄を失った、David Goodmanさんは最後にこう語っています。(57:50より)

DAVID GOODMAN:
And the majority of people in America are white. And I thought I was well educated at the time, even though I was seventeen. Of course, when you’re seventeen, you think you know everything. But I didn’t have a clue of what went on in this country in many areas. I didn’t understand racism. And the majority of white people in this country didn’t understand it, until they were confronted, as Rita said, with two white kids getting killed, and they said, “Gee, this could happen to my kid.” So how is that, which happened almost fifty years ago, relevant to today? We have a media that doesn’t educate us and/or we don’t ― aren’t conscious about what’s going on. We’re concerned, naturally, about our own families, paying the rent. And this is a way to learn from the past about how we need to pay attention to what’s going on today.

「アメリカの大多数は白人です。この事件が起こった当時17歳でしたが、私は既に十分に教育を受けたと思っていました。17歳の頃は皆、すべてわかっているような気がしているようなものなのかもしれません。しかし、この国のたくさんの地域で実際に何が起こっていたのか、何もわかっていませんでした。人種差別について何も理解していませんでした。この国の多数派である白人たちも、この問題に直面するまで理解していませんでした。

白人の子供が殺されたからこの事件は注目された。(もし、殺されたのが黒人だけだったらこの事件はこれほどまでに注目されなかっただろう)これは、50年近く前に起きた事件ですが、今日でも同じような状況ではないのでしょうか。

メディアは私たちを教育しませんし、私たちも学ぼうとしていません。今何が起こっているのかを、知ろうとしていないのです。単に、自分の身内のことだけ、日々の暮らしのことだけを気にしている程度なのです。この事件は、過去から学び、そして現代の問題に目を向ける機会を提供しているののです。」

 人間は過去の出来事から学び、進化、成長して行くものだと思います。しかし、それは時に短時間でなされるものではなく、何十年という時間を要し、場合によっては何世代にもわたって初めて学び、変わっていけるのかもしれません。もしかしたら、人ひとりが生きている間にその変化を見届けことはできないこともあるのかもしれません。そうだとしても、学び続けなければなりません。知ろうとしなければなりません。そして、それを次の時代を生きる人々に受け継いで行かなければなりません。そのためにも言葉は大切な道具になると思うのです。

(*)参照サイト
After Over Four Decades, Justice Still Eludes Family of 3 Civil Rights Workers Slain in Mississippi Burning Killings
ミシシッピ州「フリーダム・サマー」活動家三人の暗殺(1964)

(*)参考図書
英語の「語脳」をつくる接頭辞と接尾辞の完全ガイド

シップリー英語語源辞典

 
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