映画『Captain Phillips』(キャプテン・フィリップス)のアイルランド系アメリカ人
実在の人物の名前がそのままタイトルになった映画『キャプテン。フィリップス』(Captain Phillips)。フィリップス船長とはどのような人なのでしょうか。
本人、Richard Phillips(リチャード・フィリップス)の著書『A Captain Phillips – Somali Pirates, Navy SEALs, and Dangerous Days at Sea』(キャプテンの責務)によると、彼はアイルランド系アメリカ人であることが分かります。
私の父は、典型的なアイルランド系アメリカ人だった。家族のために懸命に働きはするものの、その愛情を表に出すタイプではなかった。
『A Captain Phillips – Somali Pirates, Navy SEALs, and Dangerous Days at Sea』(田口俊樹・他 [訳])
典型的な”アイルランド系アメリカ人”という表現を本人が使う場合には、その特徴をどのように捉えているものなのでしょうか。フィリップス氏は、過去の体験をアイルランドの血筋に関連付け次のように語っています。彼が船員養成学校に入学したばかりのころ、ある先輩からひどく嫌われ、数々の嫌がらせを受けました。しかし、「今すぐ荷物をまとめたらどうだ。どうせ卒業なんかできないんだから」と罵倒されたときも、フィリップス氏はへこたれませんでした。
私の祖先はアイルランドのコーク州の出だ。コークは英国支配に対する抵抗運動によって、”反逆の州”として知られる。私にはその血が流れている。
(アイルランドのコーク州での英国支配に対する抵抗運動については、こちらの映画がお勧めです。
『The wind that shake the barley』(麦の穂を揺らす風))
さらにアイルランド系カトリックに関しては、次のような記述もありました。
実を言うと、私は誉められるのがあまり得意ではない。これは七人の兄弟とアイルランド系カトリックの家庭で育ったことが大きいかもしれない。私をやり込めようとする人に対処する方法ならわかるが、誉めることばに対抗する方法はさっぱりだ。
実は、フィリップス氏は映画公開後攻撃の的の立たされているようです。再三にわたり海賊事故の危険性についいてセキュリティー会社から指摘され、ソマリアから600マイル以上離れて航海するように忠告されていたにも関わらず、その忠告に従わなかった、などと同船のチーフエンジニアマイク・ペリー(Mike Perry)から非難されているのです。映画で彼は船を救ったヒーローのように描かれているが、船を危険にさらしたのは彼自身だと。本件は法廷闘争にまで発展しているとのこと。
このような批判に対してフィリップは次のように答えています。
600マイルが安全だとは思わない。1200マイルだった安全だとは思っていなかった。私は船員にこう言いました。「もし海賊に襲われたら」という問題じゃない。「いつ襲われるか」という問題なのだと。我々は常にそういう危険がある海域にいたのです。
フィリップを”やり込めようとする人”に対して、彼がどのように抵抗していくのか。今後も着目して行くことで、アイルランド系アメリカ人の骨太さを知ることができるかも知れません。
▼The Maersk Alabama Crew Speaks Out About Captain Phillips
▼CAPTAIN PHILLIPS – Official International Trailer
(関連リンク)
Hero of Captain Phillips Movie Portrayed as Villain in Lawsuit