コックニー(Cockney)!~BBCコメディで笑いながらマンツーマン英会話(1)
初めてのロンドン出張。空港でタクシーに乗ってびっくり。運転手さんが話す英語が全く分からないのです。「これは本当に英語だろうか?」と疑いたくなるほど。これが、いわゆるロンドンの労働者階級の人々が話すという英語、コックニー(Cockney)だったのです。
「英語を母国語とする人々の英語さえ分からない」と、僕はとてもショックを覚えました。ETCマンツーマン英会話のチャールズ先生のアドバイスは、「様々な英語の訛りを数多く聞くこと」でした。そこで、BBCの『ベスト・コメディ』投票でも1位に輝いた超人気のTVコメディシリーズ、『オンリー・フールズ・アンド・ホーセズ (Only Fools And Horses)』で学んでことにしましょう。
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■コックニー(Cockney)発音の特徴(1)~Glottalling
コックニーの発音の特徴の一つは、Glottalling。いわゆる glottal stop(声門閉鎖音=閉じた声門が開放されて起こる破裂音)を /t/ の代わりに多用する傾向のことです。音声表記は [ʔ] で表します。イギリス英語では非常によく聞かれる発音ですが、Cockney では頻繁に使用されるそうです。
僕には「音が詰まって」聞こえたり、「/t/の音を飲み込んでいる」ように聞こえます。カタカナ英語での学習はお奨めしませんが、敢えて書いてみるとこんな感じに僕には聞こえています。
letter → レッ アー
matter → マッ アー
little → リッ オー
『Only Fools And Horses』に、いい例がありました。黒人としては初めてアカデミー主演男優賞を受賞した映画俳優、シドニー・ポワティエ(Sidney Poitier)の名前の発音について、おじいちゃんのグランダッド(Grandad)と、孫のロドニー(Rodney)が口論になるシーンです。
【Transcript】
Grandad:
That Sidney Potter’s a good actor, ain’t he Rodney?
He was marvellous in Guess Who’s Coming To Dinner.
このシドニー・ポーッアーはいい俳優だな。ロドニー
『招かれざる客』の彼はすばらしい。
Rodney:
Yeah, knockout Grandad. Sidney Potter?
そうだね。おじいちゃん。すばらしいね。えっ、シドニー・ポーッアー?
Grandad:
Yeah, you know him, always plays the black fella.
そうだ。知ってるだろ。いつも黒人の役を演じている彼さ。
Rodney:
It’s Sidney Poitier.
それは、シドニー・ポワティエだよ。
Grandad:
Sidney Potter!
シドニー・ポーッアーだ!
Rodney:
Look, it’s Poitier.
ポワティエだって。
Grandad:
It’s Potter.
シドニー・ポーッアーだって!
Rodney:
It’s bloody Poitier I’m telling you.
絶対ポワティエだよ!間違いない。
Grandad:
And I’m telling you it’s bloody Potter.
絶対ポーッアーだ!間違いない。
「Poitier」 か 、それとも「Potter」か? いずれにせよ、/t/が「glottal stop(声門閉鎖音)」になっているのがよく分かりますね。
では、シドニー・ポワティエ(Sidney Poitier)は、どんな風に発音するのが正しい(?)のでしょうか。2001年のアカデミー賞で、彼がオスカー名誉賞を受賞したシーンです。プレゼンターはデンゼル・ワシントン。彼の発音が一つの参考になりそうですね。
▽Sidney Poitier accepting an Honorary Oscar
[了]
※参考URL
▽悲報(号泣)英国が生んだ伝説のクリエイターが天国に召されました☆RIP John Sullivan
▽Only Fools ans Horses FANS SITE
※参考図書
『Accents of English 2』 (J.C.Wells 著)
■追記
ちょうどこの原稿を書き始めた2011年4月24日、『Only Fools And Horses』の作者、ジョン・サリバン(John Sullivan) が前日に他界されていたことを知りました。なんという偶然でしょう。ご冥福をお祈りします。
▽Del Boy creator John Sullivan whose genius shames today’s charmless comics
しばらく彼の作品『Only Fools And Horses』をじっくりと楽しみながら、コックニーを学んで行きます。どうぞお付き合いください。