原子力発電所で働く人々のこと~New York Times
3月11日の震災以来、日本のニュースが海外のメディアで取り上げられる機会が増えました。その中には、日本であまり報じられていない事柄であったり、日本のマスメディアとは異なる視点で書かれていたり、日本で報じられるよりもずっと早いタイミングで紹介されているものもあるようです。日本で暮す人々にとって、近い将来、直接影響をもたらす情報がちりばめられており、真剣に向き合う必要性を感じています。
また、外国語のニュース報道に苦手意識を感じていた方にも、それを乗り越え英語という道具を使いこなせるようになる機会に溢れているのではないでしょうか。そして、そこで得られた情報は、私たち自身を守る知恵になって行くかもしれません。
こちらは、4月10日の『New York Times』。原子力発電所の作業員の方々に取材を行った記事が紹介されています。
▽Japanese Workers Braved Radiation for a Temp Job (2011.4.10)
[抜粋]
Of roughly 83,000 workers at Japan’s 18 commercial nuclear power plants, 88 percent were contract workers in the year that ended in March 2010, the nuclear agency said. At the Fukushima Daiichi plant, 89 percent of the 10,303 workers during that period were contractors. In Japan’s nuclear industry, the elite are operators like Tokyo Electric and the manufacturers that build and help maintain the plants like Toshiba and Hitachi. But under those companies are contractors, subcontractors and sub-subcontractors ― with wages, benefits and protection against radiation dwindling with each step down the ladder.
(中略)
Some workers are hired from construction sites, and some are local farmers looking for extra income. Yet others are hired by local gangsters, according to a number of workers who did not want to give their names.
They spoke of the constant fear of getting fired, trying to hide injuries to avoid trouble for their employers, carrying skin-colored adhesive bandages to cover up cuts and bruises.
原子力委員会によれば、2010年度(3月迄)、日本の民間の原子力発電所18箇所における作業員約83,000人の内、88%は契約社員だった。同期間、福島第一原子力発電所では、10,303人のうちの89%が請け負い業者からの派遣。日本の原子力産業において、東京電力のようなオペレーターや東芝、日立等のような発電所を建設、維持をする製造業で働く人々はエリートである。しかし、これらの企業の下に、請け負い業者や下請け負い業者いる。そして、その梯子の下に降りて行けば行くほど、賃金、社会保障、そして被爆予防などの労働条件は悪くなって行く。
幾人かは建築現場で雇われた作業員達だったり、幾人かかは追加の収入減を求める農家の人々であった。しかし、それ以外は地元の暴力団に雇用された人々で、作業員の多くは彼らの名前を名乗ろうとはしなかった。
彼らは職を失うことを常に恐れていると語り、彼らの雇用主と問題が生じることを避けるためケガをしても隠そうとし、傷やアザを隠すために肌と同系色のバンドエイドを常に持参しいる。
nuclear power plants:原子力発電所
contractors: 請け負い業者
subcontractors: 下請け業者
dwindle: 次第に減少する