マンツーマン英会話ワンポイント・レッスン~イギリス人作家レイ・デイトンの英語アクセントの描写について教えてください

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 『言葉にこだわるイギリス社会』 (ジョン・ハニー著/高橋作太郎・野村恵造訳)の中に次のような説明がありました。

また現代の小説家や回想録の著者は、アクセントに筆をおよぼして、性格描写に見事な効果を上げている。例えば、現代イギリス作家のレイ・デイトンは、一冊の本のなかで十数回もその種のコメントを加えているが、それはしばしば精細をきわめている。

 レイ・デイトンの作品の中にはアクセントに関して具体的にどのような記述があるのでしょうか。

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 では、『ロンドン・マッチ』(レン・デントン著/田中融二訳)を例に、登場人物のアクセントについて描写している部分をいくつか抜き出してみましょう。これらの表現がからそれぞれのアクセントに対してイギリス人がどのようなイメージを持っているのかがわかるのではないでしょうか。

【ロンドン訛り】

Werner Volkmann was a Berliner by birth. I’d come to school here as a young child, my German was just as authentic as his, but because I was English, Werner was determined to hang on to the conceit that his German was in some magic way more authentic than mine. I suppose I would feel the same way about any German who spoke perfect London-accented English, so I didn’t argue about it.

ベルナー・フォルクマンは生まれついてのベルリンっ子だった。わたしは子供のときにこの土地の学校にかよい、わたしのドイツ語は彼のと同じくらい本物だったが、私はイギリス人なので、ベルナーは自分のドイツ語がなにかの魔法のよううなものの作用によって、私のそれより本物だという自負を押し付けようとしているのだった。わたしのほうでも、完全なロンドンなまりの英語をしゃべるどんなドイツ人に対しても、それと同じ感じをいだくにちがいないので、そのことについては異議は申し立てなかった。(11p)

【上流階級のアクセント】

‘Are you in charge?’ she asked. She had the exaggerated upper-class accent that shop girls use in Knightsbridge boutiques. ‘I want to know what I’m charged with. I warn you I know my rights. Am I under arrest?’

「あなたが責任者でいらっしゃるの?」と彼女はきいた。ナイツブリッジのブティックの女店員が使うような、誇張された上流階級のアクセントだった。「わたしにどういう疑いがかけられているのか、知りたいわ。申し上げておきますけど、法律で保証されている自分の権利は承知していますからね。わたしは逮捕されたんですの?」(17p)

【アメリカ訛り】

‘It’s good to see you, Bernie,’ he said as he released my hand. ‘We were in the other house the last time we saw you. The apartment over the baker’s shop.’ His American accent was strong, as if he’d arrived only yesterday.

「よく来たな、バーニー」彼はわたしの手をはなしながらいった。「この前あんたが来たときは別の家だったな。ほら、あのパン屋の二階のアパート……」まるで昨日やってきたばかりのように、彼のしゃべり方にはアメリカなまりが強かった。(106p)

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【ロンドン訛り】

George Kosinski was thirty-six years old, although most people would have thought him five or even ten years older than that. He was a small man with a large nose and a large moustache, both of which looked inappropriate, if not false. The same could be said of his strong cockney accent to which I had to get freshly attuned each time I saw him.

ジョージ・コシンスキは36歳だが、たいていの人は彼をそれより5つから10も年長だと思うだろう。小男だが大きな鼻をして大きな口ひげを生やし、そのどちらも作り物めいた不似合いな印象を与えた。同じことは彼の強いロンドンなまりについてもいえ、会うたびにわたしはあらためてそれに慣れる努力をしなければならなかった。(146p)

【アメリカ南部訛り】

‘Har-ree! We’re going to be so late,’ she said. Her voice was laden with magnolia blossoms, the sort of accent that happens to ladies who watch Gone With the Wind on TV while eating chocolates.

「ハーリー! これじゃ完全に遅れちゃうわよ」彼女の声はチョコレートを食べながら『風とともに去りぬ』のテレビドラマを見る女性のそれを思わせて、マグノリアの花のにおいのように甘ったるかった。(156p)

【ロンドン訛り】

He hates me, you know. He can’t bear anyone he knows hearing that I’m his son-in-law. He’s ashamed of me. He calls himself a socialist, but he’s ashamed of me because I don’t have the right accent, the right education, or the right family background. He really hates me.

「彼はぼくを嫌っているんですよ。彼はぼくが自分の娘の亭主だってことが、知人お耳にはいることに堪えられないんだ。ぼくが身内だってことが恥ずかしいんだよ。彼は社会主義者だと自称しているくせに、ぼくのしゃべり方や教育や家系が上流階級のそれじゃないことを恥じているんだ。彼は本当にぼくを嫌っているですよ」(158p)

【ウェールズ訛り】

His face was very pale and rotund, with small eyes, like two currants placed in a bowl of rice pudding. He had a powerful singsong Welsh accent. I wondered if it had always been like that or whether he wanted to be recognized as the local boy who’d made good.

彼の顔はひどく白くて丸く、小さな目にはライス・プディングにはめ込まれた二個のスグリの実のようだった。言葉には歌うような力強いウェールズなまりがあり、彼はいつもそうなのか、それとも出世した地方出身者であることを目立たせようとしているのか、判断に迷わされた。(174p)

【ウェールズ訛り】

‘There are one or two things you are overlooking, Bret,’ he said, his lilting Welsh accent more than ever in evidence.

「ひとつふたつ見落としている点がありますよ、ブレット」いつにもましてウェールズなまりを強く響かせて、彼はいった。(176p)

【アメリカ訛り】

‘Mine,’ said Bret. ‘It was my idea. Stinnes was doubtful, but my American accent will give me the cover I need. With Stinnes alongside me to give all the usual guarantees they won’t possibly suspect me as an agent working for British security.’

「これは僕の発案だ。シュティンネスはあまり信用していないようだが、僕のアメリカなまりは正体を隠すのに十分に有効だと思う。そしてそうした場合の通常の保証としてあらゆる条件をそなえたシュティンネスがそばにいれば、彼等はまさかわたしがイギリスの保安機関の手先だとは疑うまい。」(272p)

【ウェールズ訛り】

It wasn’t just the use of the first name, but the casual and overfamiliar way in which Morgan spoke that was so annoying. The Welsh accent could be a delight for reciting poetry, but it was an accent that could make even the friendliest greeting sound like a jeer.

気にさわるのは、たんにファーストネームを使うということだけではなく、いかにも無造作な、過度になれなれしいしゃべり方もだった。ウェールズなまりは詩を朗読するのには向いているかもしれないが、もっとも友好的な挨拶をさえ、あざけりやからかいのように聞こえさせる危険があった。(273p)

【イギリス上流階級のアクセント】

‘There’s a gentleman to see you.’ He said it in English. I suspected that he’d got it from one of those film butlers because he had exactly the right accent and inflection whereas the rest of his English was appalling.

「あなたさまにご面会の紳士がお見えです」と彼は英語でいった。ふだんの英語のまずさにひきかえ、それはアクセントも抑揚も完璧で、おそらく彼はそれをアメリカかイギリスの映画に出てくる執事からでも学びとったものと思われた。(423p)

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【関連図書】
『言葉にこだわるイギリス社会』 (ジョン・ハニー著/高橋作太郎・野村恵造訳)

『ロンドン・マッチ』(レン・デントン著/田中融二訳)

 

 

 
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