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『英単語の語源図鑑』で
contenderの意味を推量
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最近、書店の平積みでよく見かける『英単語の語源図鑑』(清水建二著、すずきひろし著、本間昭文イラスト)は、アマゾンの「英語の単語・熟語」カテゴリーでもベストセラーになっているようです。
同書のタイトルにある「語源」とは、英単語を構成するパーツ、つまり「接頭辞」「語根」そして「接尾辞」のこと。
英単語をこれらのパーツに分解し、それぞれのパーツの意味から、元の英単語の意味を類推することができるようになる、という学習法を紹介しています。
例えば、”-tract”は引くという意味の「語根」を持つ単語には、”attraction”、”contract”、”extract”、”distraction”などがあります。
同書では、これらの単語を次のように分解して、単語の意味を類推するヒントを紹介しています。
“attraction” 「接頭辞」at-(~の方へ)、「語根」-tract(引く)、「接尾辞」-ion(名詞) ⇒ 引き付けるもの⇒ 魅力
“contract” 「接頭辞」con-(共に)、「語根」-tract(引く) ⇒ 引き合う(一緒に引き寄せる、縮ませる、狭める)⇒ 契約する
“extract” 「接頭辞」ex-(外に)、「語根」-tract(引く) ⇒ 外に引く⇒ 引き出す(抜粋する)
“distraction” 「接頭辞」dis-(離れて)、「語根」-tract(引く)、「接尾辞」-ion(名詞) ⇒ 引き離すもの(心配事から自分をそらすもの)⇒ 気晴らし
つまり、”-tract”(引く)という「語根」を覚えれば、at-(~の方へ)、con-(共に)、ex-(外に)、dis-(離れて)などの基本的な接頭語を付加することで、掛け算でもするかのように、類推できる単語が増えて行くことになる、と同書は強調しています。
では、実際に2月12日にBBCが伝えたニュースで試してみましょう。
水泳選手の池江璃花子さんのニュースです。
▽Rikako Ikee: Japan’s Tokyo 2020 medal contender has leukaemia.
“contender”の意味がわかりませんでした。
では早速分解してみましょう。
“con-“は「共に」、”-tend”は「伸ばす」。(共に伸ばしあう)から類推。
“contend”「優劣を争う」となります。
これに、”-er”(する人)がついて、「優劣を争う人」。
そして、上記のタイトルでは”medal contender”となって いますから、「メダル候補者」と意味にたどり着くことができそうです。
また、”leukaemia”は「白血病」の意味です。
これも分解してみましょう。
“leuka-“は、ギリシャ語の”leukos”が派生したもので、”clear, white”という意味。
“-emia”は病理学上の「血液の状態」の意味だそうです。
”-emia”を接尾辞にもつ単語には、”hypoglycemia”(低血糖症)、”ischemia”(局所貧血)、”septicemia”(敗血症)、”toxemia”(毒素血症)などがあり、すべて「血液の状態」を表していることがわかります。
BBCの記事は池江さんのこんな言葉も紹介しています。
“I will devote myself to my treatment and strive to be able to show an even stronger Rikako Ikee,” she said.
(治療に専念し、またさらに強くなった池江璃花子の姿を見せられるよう頑張って生きたいと思います)
オリンピックの開催期間は2週間余りという短期間のイベントでしかありません。
他方、人生はそれよりも遥かに長い時間、様々な出来事と向き合ってゆかなければなりません。
人生の大きな困難と前向きに向き合おうとされている池江さんを、これからもいろいろな形で応援して行くことが、大切なのに違いありません。
(*)関連リンク
▽技術英語にはギリシャ語とラテン語を ピーター先生(小岩) ETCマンツーマン英会話
▽『英単語の語源図鑑』(清水建二著、すずきひろし著、本間昭文イラスト)
▽『英語の「語脳」をつくる接頭辞と接尾辞の完全ガイド』(酒井玲子著)
▽Online Etymology DIctionary オンライン語源学辞書