通勤電車で英語力をアップする方法

 「日本は英語の環境が無いので、英語が話せるようにならない」

 生徒さんから、こんな悩みをよくお聞きします。アイリス先生(麻布十番)からアドバイスを頂きました。

 「外出したら、英語の標識、英語の看板、英語の説明を見るように心がけてください。例えば、電車の中にも外にも、沢山の英語表記があるのです。できるだけ日本語を見ずに、英語表記だけを読もうとすることで、あなた自身の英語環境を作り出すことができるのです」

 早速、私が毎日利用する大井町線で実行してみました。するとどうでしょう。思った以上に英語表記があるではありませんか。普段はアイリス先生のアドバイスとは真逆の生活、日本語表記だけを読んで暮らしていたことに気がつきました。

 大岡山駅、そして旗の台駅で見つけた英語表記の一部をご紹介します。日本語を見て、英語では何と言うか想像しなら読んでいくと、英訳の勉強になるかもしれません。

 また、気になった単語は、調べておくと、語彙力アップにもなりそうです。

 まずは、プラットフォームで見つけた英文表記です。

[お願い]

 車いす・ベビーカーご使用のお客様
・ホームでは、転落・転倒しないよう、また電車内では滑走・転倒しないよ
う手を離さないでください
・止めるときは必ずブレーキまたは、ストッパーをおかけください

[Notice]
To Wheelchair and Stroller Users:
・To avoid falling off the platform, overturning, or sliding inside
the train, do not leave wheelchairs and strollers unattended.
・Use brakes or stopper when stopped.

「ベビーカー」はbaby carではなく、アメリカ英語で”stroller”、イギリス英語では”pushchair”と言うそうです。

 次はエスカレーターの乗り口、そして降り口そばにあった英文です。

●手すりにおつかまりください

Hold the handrails

●巻き込みに注意
Don’t get caught in the treads.

 日本語は「~おつかまりください」と丁寧な表現なので、英文は “PleaseHold~”としたくなりますが、強調するためでしょうか、”Please”はありませんでした。

 また、”get caught in”で「~に巻き込まれる」。”treads”は「〔階段の〕踏み板[面]」の意味です。

 最後に安全のために設置されたホームドアに、大きなアイコンと共に書かれていた英語表記です。

●のりださない
Please don’t lean over the platform door.

●立てかけない
Please don’t prop anything against the platform door.

●かけこまない
Please don’t rush into the train

●立ち入らない
Please keep out

 日本語の「(駅の)ホーム」は、英語では”home”ではなく”platform”です。

 また、こちらはエスカレータの表記とは反対で、日本語は命令形ですが、英文は”Please~”と丁寧な表現になっています。興味深いですね。

 もしかしたら、これらの中に、ネイティブスピーカーにとって、おかしな英文が隠れているのかもしれません。駅で気になる英文表記を見かけたら、
写メを撮ってレッスンの際に先生に質問をしてみてはいかがでしょうか。

 残念だったのは「駅係員呼び出しインターホン」=(Intercom)の看板です。看板には英文表記がありましたが、その下に設置されていた肝心のインターホンには、小さい文字で「マイク」「よびだし」「係員の声が聞こえましたら、マイクに向かってお話しください」などと、日本語で説明が書かれていただけでした。おそらく、日本語がわからない外国人の方には、使用は難しいと思います。

 でも、4年後の東京オリンピック・パラリンピックに向かって改善され、これからこのような箇所にもどんどん英語表記が増えたりバリアフリーが増えていくのかもしれません。ただ、たった数週間のイベントのために、維持費や借金が負の遺産として残ってしまうような競技場に巨額をつぎ込み、せっかくいままで守ってきた自然環境などが破壊されてしまうことには、反対したいと思います。

 他方、これを期に日本語が分からない人や障がい者が、生活しやすい街に東京が変われば、より良い資産として残っていくことになるのではないでしょ
うか。

 気がついた英語の看板があれば、英語の勉強にもぜひ効果的に活用されてみてください。

(*)関連リンク
「異文化比較を通して」アイリス先生インタビュー

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