映画『Invictus』(インビクタス/負けざる者たち)でアフリカ英語

invictus-Warner-Bros.-Pictures 映画『Invictus』の舞台は1994年の南アフリカ共和国。当時南アフリカの黒人にとって、ラグビーは白人のスポーツ、アバルトヘイトの象徴でしかありませんでした。南アフリカで多数を占める黒人の間では、非常に不人気なスポーツでした。黒人達は自国の南アフリカのチームではなく、対戦相手となる外国のチームを応援していました。

 また、南アフリカ代表のラグビーチーム「スプリングボクス」も当時低迷期にあり、非白人の選手もチームにたった1人という状況でした。

 反体制活動家として27年ものあいだ投獄され、1990年に釈放され同国初の全体選挙によって黒人初の大統領となったネルソン・マンデラ氏。彼が率いる政府内ではチーム名や金と緑を基調としていたユニフォームの変更を求める意見が多数を占めており、一時はその方向で決まりかけていました。

 しかし、マンデラはこのチームが南アフリカの白人と黒人の和解と団結の象徴になると考え、チーム名とユニフォームの存続を求め周囲を試みます。

 「状況は変わっている。スポーツを利用して新しい国家の建設を目指し、我々の考えを広く伝えるしかない。そうすることが、この国の平和と安定に繋がる」とANC(アフリカ民族会議)の同士に説得を始めたのでした。

 映画『Invictus』の中で、次のシーンがこのマンデラの考えを最もよく表しているスピーチです。

 

I am aware of your earlier vote.
私は採決の内容も把握しています。

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I am aware that it was, unanimous none the less, I believe we should restore the Springboks
その結果が満場一致であろうことも。しかしながら私はスプリングボクスを残すべきだと信じています。

Restore their name their emblem, and their colors, Immediately
そのチーム名も、エンブレムも、ユニフォームの色も継承すべきです。

let me tell you why.
理由を知りたいでしょう。
 
On Rogha lsland, in prison all of my jailers were Afrikaners
ロベン島でも、刑務所でも、看守は全員アフリカーナ(白人)でした。

For 27 years I studied them.
私は27年間、彼らを研究し

I learned their language.
彼らの言葉を勉強した。

Read their books their poetry. 
彼らの本を読み、詩も読みました。

I had to know my enemy before I could prevail against him and we did prevail, did we not?
相手を知る必要が会ったのです。いつの日か、彼らに打ち勝つために。そして私たちは勝った。そうでしょ。

All of us here we prevailed.
ここにいる全員で打ち勝ったのです。
 
Our enemy is no longer the Afrikaner.
我らの敵は、もはやアフリカーナではない。
 
They are our fellow South Africans.
彼らは私たちと同じ南アフリカ人です。

Our partners in democracy and they treasure Springbok Rugby.
民主主義におけるパートナーなのです。そしてスプリングボクスは彼らにとって宝物だ。

If we take that away, we lose them.
取り上げれば、彼らの支持を失う。
 
We prove that we are what they feared we would be.
それよりまず、我々は敵ではないと知らせることが大事です。
 
We have to be better than that.
我々は良き存在だと。
 
We have to surprise them.
彼らを驚かせましょう。
 
With compassion With restraint. And generosity
思いやりと自制心を持って。寛大な心で。

I know, all of the things they denied us.
わかってます。かつての彼らにそれらがなかったことは。

But this is no time to celebrate petty revenge.
しかしくだらない復讐などに時間を割いている暇など今はありません。
 
This is the time to build our nation using every single brick available to us even if that brick comes wrapped in green and gold
とにかく国を築くことが急務です。そのために手持ちのレンガは全て使うのです。たとえそのレンガがグリーンとゴールドに染まっていても。

You elected me your leader
私をリーダーに選んだのはあなた方だ。

Let me lead you now.
ついてきて欲しい。

 「インビクタス(Invictus)」は、ラテン語で「負けない」「不屈」を意味します。ネルソン・マンデラは、英国詩人ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの4行詩を獄中の中で心の支えとしていました。

William_Ernest_Henley_Vanity_Fair_1892-11-26 ウィリアム・アーネスト・ヘンリーは、1948年イングランドのグロスターに生まれました。父は書店兼文房具屋を営みウイリアムが19歳の時に亡くなります。母はケルト人の子孫にあたります。ウィリアムが12歳の時、骨結核を患い左足を切断することになります。ロバート・ルイス・スティーヴンソンが書いた『宝島』に登場するジョン・シルバーは、左足を失ったウィリアムがモデルとのこと。ロンドンに移り住み、ジャーナリストになることを試みますが、病弱な彼はその後8年間入院生活となり、右足も切断しなければならない可能性がでてきます。結婚をし娘を授かりますが、彼女も病気で6歳で亡くしてしまします。「インビクタス(Invictus)」は、彼が遭遇したさまざまな人生の試練に向かい合った、彼の心の奥底からの不屈の叫びに違いありません。

 2013年12月10日に行われた彼の葬儀におけるオバマ大統領のスピーチの中でも、詩の一部が引用されました。

 
“It matters not how strait the gate,
how charged with punishments the scroll,
I am the master of my fate:
I am the captain of my soul.”

門がいかに狭かろうと
いかなる罰に苦しめられようと
私は我が運命の支配者
私が魂の指揮官なのだ

(*)関連リンク
Transcript: Obama’s speech at Nelson Mandela service

 
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