その八: タミー(3歳)のプライバシー

一般にアメリカ人はプライバシーについては、日本人と違って非常にはっきりした考えを持っていて、他人に踏み込まさせません。

私が、あるアメリカ人の所で働いていた20代後半の若い時の事です。その家には二人の息子、ダグラス(5歳)とタミー(3歳)が居ました。ダグラスは実に可愛げのない小憎らしい奴で、親の前では私のことを

 「Fukumoto-san」とか、「Fuku-san」

と呼ぶのですが、一歩外に出て親の目の届かない所で他に日本人が居る所では、用も無いのに

 「Fukumoto!」

と大きな声で呼びつけて、アメリカ人であることの権威(?)を見せびらかすのでした。

弟のタミーは、之はまたすごく可愛い素直な子供で、日本の女の子の友達が居て普段から良く遊んでいるせいか、日本語もとても上手でした。私が何か好きなことの理由を

 「Why?」

と聞くと

 「Because dousitemo.(どうしても)」

などと言っていました。

その誰にでも可愛がられるタミーが、道で知り合いの大学教授の奥さん(日本人)に会いました。奥さんは、何となくみんなの前で英語を使ってみたかったのでしょう、いつもなら日本語で声をかける所を

 「タミーさん、Where are you going?」 (どこへ行くの)

と声をかけました。するとタミーは一言の元に、

 「It’s not your business.」(そんなことあなたに関係ないでしょ)

と撥ね付けました。私は撥ね付けられた奥さん(普段は、私等と階級の違いを意識している私好みの人ではありませんでしたが)が、その時ばかりは可哀相になりました。そして、こんな3歳の子供でも大人が口にする言葉をまねて自分のプライバシーをはっきり主張する意識があるのかと、日本人とアメリカ人のプライバシーに関する認識の相違を感ぜずにいられませんでした。

それでは、今日はこの辺で。

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2012-03-05 12:05:20

 
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