映画『Riff-Raff』(リフ・ラフ)でイギリス英語
1979年に成立したサッチャー保守党政権の支配した80年代を通じて、イギリスは労働組合の弱体化を経験して行きます。労働組合の加入者数は、1980年の1,217万人から90年には840万人にまで激減して行きます。労働者たちには、危険や搾取、安易な解雇からの何の保護もなくなってゆきます。
映画『Riff-Raff』は80年代のイギリスの建設現場の劣悪な労働環境を描いています。主人公のスティーブはグラスゴー出身。刑務所を出た後、ロンドンで改築工事の仕事に就きます。
建築現場で話されるのはロバート・カーライルが演じる主人公のスティーブが話すスコットランド英語やリバプール英語、そしてロンドン下町英語など。上量社会の人々が話す英語とは全く異なった様々なイギリス英語に触れることができます。
実際、出演者のほとんど全員が建設現場での仕事を経験したことがあるとのこと。ロバート。カーライルは、俳優になる前の五年間、ペンキ屋と内装を、ビルの屋上から携帯電話を投げ捨てるリバプールの若者を演じているジミー・コールマンは、屋根ふき職人、ラリーを演じたリッキー・トムリンソンは、左官をしていたそうです。
映画は、建築現場の責任者が労働者に労働条件を説明している場面から始まります。その内容の酷さは言うまでもありません。
You’ll clock off a bloody sight earlier, right. You got it?
現場には市場時間よりも前に来て出勤時間を登録しろ。わかったな
Thursday morning’s pay day.
It’s also sackin’ day. Be warned.
給料日の木曜日はクビの日でもある。注意しろ。
労働環境の改善を訴えたラリーは、現場監督に木曜日までまてと言われます。そして給料日の木曜日に解雇されるます。数日後、現場では人命を失う事故が発生してしまいます。
はたしてこれは、80年代のイギリスだけの話しなのでしょうか。今、世界のどこかで劣悪な労働環境で苦しむ労働者達はいないのかどうか、目を光らせていく必要があるのではと感じました。