マンツーマン英会話ワンポイント・レッスン~you knowの意味は?
ネイティブ・スピーカーの話を聞いていると、何度も”you know”と言っているのを耳にすることがあります。これはどのような意味なのでしょうか。
日本語の「それでね」、「ほら」、「そうでしょ」、「~ですよね」等にあたる言葉で、話の内容に何か特別な意味を加えているわけでわありません。ですから“you know”をあまり連発すると、聞き手はそのことに気をとられて、肝心の話の本題に気が回らなくなってしまいます。会話の中の雑音に等しく、とても聞きづらくなります。
ブレンダン先生(下落合)が紹介してくださった著書、Larry King氏の『How to Talk to Anyone, Anytime, Anywhere』でも、”you know”がNothing words(無意味な言葉)の一つであるとして注意しています。この他にも、“uh”や“um”など、また使い方によっては“basically”や“hopefully”、“whatever”等も無意味な言葉だとして、できるだけ使わずに話すよう努力すべきとのことです。
でもネイティブ・スピーカーと会話を重ねれば重ねるほど、この悪い癖も自然に身についてしまっていることがあります。直すにはどうしたらよいでしょうか。著書では次の三つの方法を紹介しています。
1)自分の発言を(録音して)自ら聞くように心がける
(「アー」(uh)などが話の流れを妨げていることに気づくだけでも効果がある。)
2)話す内容を前もって考える
(最初の文章を話しているうちに、頭のなかで次の文章を考えておく。
人間の頭脳は一度に二つのことができるすぐれた能力がある。)
3)会話モニターに協力してもらい、あなたが無意味な言葉を使ったら注意してもらう。
3)の方法は、落語の稽古でも用いられるようです。桂文楽(8代目)の著書にこんなエピソードが紹介されていました。
「牛ほめ」をけいこしていて、
「エー……、エー……」
というくせがむやみにあるので、師匠はガラスのおはじきを買って来て、
「エー」というたび、ピシリとおはじきを投げる。
いうまいと思うことは余計いってしまうもので、
「エー」
というたびに、ピシーリ。
(アレ、しまった)
とおもうとまた。
「エー」
といって、またピシーリ。
ピシーリ、ピシーリと投げられたこと、投げられたこと、やっとのことに一席終わって、
「オイ、いくつあるか数えてみろ」
といわれ、数えてみたら、おはじきがなんと七十いくつもあったのには、我ながら驚きました。
でも、そのうちにそれが四十になり、三十になり、とうとう一つもなくなるまで、このガラスのおはじきのけいこはつづきました。
『芸談 あばらかべっそん』(桂文楽 著)
ちなみに、この著書の題名「あばらかべっそん」、桂文楽さんの意味不明の戯れ言葉で、楽屋の師匠や親しい人たちとの開口一番などに、
「実にどうも、あばらかべっそんなことで……」
などと使っていたそうです。
こんなふうに無意味な言葉も、無意味だということを知った上で使えば、今度はその場の雰囲気を和らげたり、親しみを込めた挨拶になったり、何らかの意味を持つようになってくるのかもしれません。
(*)関連リンク
ブレンダン先生(下落合)
(*)参考図書
『How to Talk to Anyone, Anytime, Anywhere』 (Larry King 著)
『あいづち・つなぎ語辞典』 (W J Ball 著)
『芸談 あばらかべっそん』 (桂文楽 著)