映画『FILTH』(フィルス)でスコットランド英語
スコットランドと言えば?「スコッチウィスキー、バグパイプ、タータンチェック」。スコットランドについて何も知らないことに我ながら恥ずかしくなりました。もしかしたら、これは外国人が日本のことを「サケ、フジヤマ、アニメ」と言うのと同じレベルで、スコットランド人に対して、とても失礼なことなのかもしれません。
でも、もし日本人自身が自国を代表する事柄を敢えて「サケ、フジヤマ、アニメ」と表現したら、ニュアンスは少し代わってくるのかもしれません。たった数個の中に母国のイメージが集約されていることへの違和感と、しかし、酒は美味いし、富士山は綺麗だし、アニメはレベルが高いし、それはそれで誇りに思っているけれど日本はそれだけではない。でも、結局その程度しか自国のことは外国に伝わっていないのではという諦めと反省の気持ち込められているのかもしれません。
映画『FILTH』は、「スコットランドとは。。。」という台詞で始まります。
This nation brought the world television, the steam engine, golf, whisky, penicillin and, of course, the deep-fried Mars bar.
スコットランドはテレビ発祥の地、蒸気機関、ゴルフ、ウィスキー、ペニシリンも生んだ。
揚げたマーズのチョコバーも
スコットランド人は最高だ
We’re such a uniquely successful race.
何しろほかに比べるものが無いほどに成功した人種だ。
And as my wife Carole always says, “There’s no place like home.”
妻のキャロルも言ってる「うちが一番」
世界で初めて生で動く白黒のテレビ映像を生み出したのはジョン・ロジー・ベアード(John Logie Baird)、蒸気機関を改良して産業革命に多大なる貢献をしたジェームズ・ワット(James Watt)、ペニシリンを発見したのはアレクサンダー・フレミング(Alexander Fleming)、等々。もしかしたら、これらの偉業は「スコットランド人」ではなく「イギリス人」によるものと日本の学校では教えられたため、スコットランドに対するイメージの薄さに繋がっているのかもしれません。
ところで、揚げたマーズのチョコバー(the deep fried Mars bar)とは何なのでしょうか?
その名の通り、マーズのチョコレートバーを油で揚げたもの。一般的に魚やソーセージを揚げるための油が使われるそうです。マーズ社は、「当社の製品を揚げることは、人々の健康で活動的な生活に対する責任に相反する可能性がある」との理由から、一切サポートはしていないこと。
90年代の中ごろ、マスメディアに「スコットランドの都会の悪名高い不健康な食べ物」として、紹介され人気が高まったもの。
マーズだけでも十分に空腹を満たしてくれそうですが、それに衣をつけてあげるとなると、一気におなかの周りに脂肪がつきそう。でも、魚やソーセージを揚げた油の風味が、味覚を刺激して癖になりそうな予感も。時々無性に食べたくなるが、食べて後悔するタイプの食べ物かもしれません。
映画のタイトルの”filth”は、英国の俗語で「警官」。もともとの意味は道徳的堕落。この映画を見ると、まさに内容自体が”filth”であることが分かりますが、この”the deep fried Mars bar”も、”filth”の一つではと思えてきます。