6ヶ月間のレッスンで生徒さんが手にした贈り物は ― ニッキー先生(勝どき) ETCマンツーマン英会話
Q 先生には以前聾唖の生徒さんにレッスンを行っていただいたことがあります。
― それまで、学習障害、記憶障害などハンディキャップを持つ子どもたちにレッスンを行ってきましたが、聾唖の方にお教えするのは初めての経験でした。何よりも驚いたのは、その生徒さんが私の唇を完璧に読んで、英語で会話することができたことです。もちろん、耳が聞こえませんので、生徒さんの発音は不明瞭なところがありましたが、理解できるレベルだったため、何の問題もなくレッスンを行うことができました。
Q そうだったのですね。事務局はその生徒さんとは、ずっとファックスでのやり取りをしていました。先生がハンディキャップを持つお子さんにレッスンを始めるようになったきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
― 先生というものは、多かれ少なかれ生徒さんのその後に人生に何らかの変化をもたらします。子どもたちにとって、そのような先生の存在は大切です。しかし、ハンディキャップを持つ子どもたちはそれ以上に先生の助けを必要としています。残念ながら、教師の多くはそのような生徒さんと積極的に係わりを持とうとはしません。係れば、係るほど、教師自身が精神的な負担を感じてしまうからのようです。しかし、私は彼らから必要とされていると感じましたし、私の能力を最大限発揮できると思いました。
Q そもそも、先生の子供クラスのレッスンには定評があります。
― 大学で児童心理学を学びましたので、子どもたちの精神構造が理解できるのです。現在ある学校で、2歳児ばかり14人の生徒に40分のレッスンを行っています。皆40分間、教室を走り回ったりせずに、ちゃんと椅子にすわっています。
Q いったいどうしたら、そのようなことが可能なのでしょうか?
― 子どもたちが走り回る変わりに、私が走り回っているのです。(笑) 大切なのは、子どもたちの集中力をきらさないこと。子どもたちが集中できる時間はとても短いので、次から次へとトピックを変えて行きます。ボキャブラリーを学んでいたかと思ったら、突然発音の勉強。発音の勉強をしていたと思ったら、いつのまにかリスニングのトレーニングというように。また、常に子どもたちを楽しませること。楽しければ、子どもたちは飽きることはありません。
たとえば、アルファベットを教えるときも、最初はABC….と超高速で発音します。すると、私の言い方が可笑しいのか、子どもたちはゲラゲラ笑い始めます。「おや、ちょっと早かったかな。じゃあ、次はゆっくりと」と言って、今度はわざと超スローで、A…B…C…を発音して行きます。このスローモーションにも、子どもたちは大喜び。しかし、笑いながら子どたちは、早口の英語に耳がなれてきたり、スローな英語でしっかりと発音を学んでいるのです。
数字を教える時は、マグネットを使うのですが、「1」の次の「2」をわざと逆さまに貼り付けたりします。すると、子どもたちがいっせいに「逆さま!」と指摘してきます。「Oops, upside down?」(おっと、逆さま?)と、言って元にもどします。「3」は、「2」の隣に貼らずに、ボードの端に貼り付けます。これも、子どもたちから「そこじゃない!」と。「Sideways?」(端っこだった?)と、言ってこれも直してあげます。実は、この方法で子どもたちは数字だけでなく、upside down(逆さま)、sideways(端)というボキャブラリーも学んでいるのです。
Q 特に、ビジネス英語を学ばれる生徒さんには、そのニーズや目的にあったきめ細かいレッスンのカスタマイズが必要になってくると思います。先生のレッスンではいかがでしょうか。
― 以前、CAの方のレッスンを行ったことがあります。昇級試験があったそうですが、英語の機内アナウンスがうまくできずに落ちてしまったとのこと。アナウンス文をすべて書き出し、発音してもらいましたが、アクセントに問題がありました。私たちが良く耳にする離着陸のアナウンスは良いのですが、緊急着陸時のアナウンスがうまくいえませんでした。じっくりとレッスンを行い、半年後の再試験で見事合格、無事昇給することができました。
そんな彼女に私はあるプレゼントをあげました。最初のレッスンで彼女がアナウンスを読んでいるとき、私は内緒で録音していたのです。贈り物はその録音テープです。彼女はあらためてそのテープを聴きながら、「私の発音ってこんなにひどかったの?!」と笑っていました。
Q 半年で自分の英語がどれほど上達したのかがわかるテープですね。先生が生徒さんに贈ったのは、実は、テープでなく、生徒さんの勉強に対するモチベーションだったのかもしません。
最後に先生の趣味についてお聞かせください。
― ドライブ、料理、映画鑑賞、旅行。海外は86カ国を旅しています。私はバンクーバーの出身ですが、20代のころにヨーロッパ、東南アジア中心に旅をしました。旅のエピソードは数え切れないほどあります。続きはぜひレッスンで。
[了]
掲載 15.4.3
※2022年4月に帰国予定となりました。