映画『Goodby Bafana』(マンデラの名もなき看守)でアフリカ英語
ジェームズ・グレゴリーは南アフリカの刑務官。子どもの頃、黒人の子供と遊び育ったため、コサ語が理解できるようになります。Bafanaは、その幼馴染の少年の名前。グレゴリーはコサ語の能力をかわれ、終身刑を受けたネルソン・マンデラを監視するという任務に就きます。
しかし、相手の言葉を理解できるのはこの看守だけではなかったようです。ネルソン・マンデラは年月をかけて、南アフリカの白人達アフリカーナーの言葉と文化を勉強していたそうです。
お互いの言葉、文化、歴史、考え方を理解しあうことは、有益な対話を始めるための大切な一歩に違いありません。
マンデラの仲間達アフリカ民族会議(ANC)を共産主義者と呼んだグレゴリーに対して、マンデラは彼が何を求めているのかを伝えようとします。
Nelson Mandela
Obviously, you have not read the Freedom Charter.
自由憲章を読んでいないな?
James Gregory
I have.
いや、読んだ。
Nelson Mandela
You have not. It is a banned document. Where would a sergeant in the Prison Services get his hands on such a document?
読んでない。あれは禁制品だ。刑務所の軍曹などに手に入る品ではない。
James Gregory
Well, I know about it.
ああ、その通りだ。
Nelson Mandela
Then you would know that all we want is equal rights for all, a world where people like you and l can live peacefully side by side. That is what I wanted for my child. Surely you want the same for your children?
なら、我々が平等権を求めていることは知っているね。白人だろうと、黒人だろうと平和に一緒に暮らせる世の中。それを子孫に残したい。君だって子供の為にそう願うはずだ。
「自由憲章(Freedom Charter)」とは、1955年に反アパルトヘイト運動を行うANCによって掲げられた憲章。映画の中でも、その一部が紹介されていきます。
“We, the people of South Africa, declare for all our country and the world to know that South Africa belongs to all who live in it, Black and White, and that no government can justly claim authority unless it is based on the will of the… ”
我々南アフリカ国民は国の為に全世界に向けて宣言する。この国は黒人や白人など人種を問わずすべての住民のものであると。政府は国民の意志に基づくものでないかぎり、いかなる権限も行使できない。
(略)
“The national wealth of our country,the heritage of the South Africans, shall be restored to the people. The mineral wealth, the banks, industry shall be transferred… ”
国家の蓄えた富や南アフリカ人の遺産などは、国民に還元される。
鉱物資源や銀行や企業は国民に譲渡され…
(略)
There shall be peace and friendship!
Let all people who love their people and their country now say, as we say here:THESE FREEDOMS WE WILL FIGHT FOR, SIDE BY SIDE, THROUGHOUT OUR LIVES, UNTIL WE HAVE WON OUR LIBERTY.
その先には友情と平和があるはずだ。
わが民族と祖国を愛するものたちよ。ここに誓おう。この自由の為に我々は共に戦おう。自由を勝ち取るまで。生涯戦い続けるのだ。
1992年2月11日、マンデラは釈放され、94年には初の全体選挙で大統領に就任します。 はたして、彼らが掲げた自由憲章は実現されたのでしょうか。平等ははアバルトヘイトはなくなり人種の隔離はなくなった代わりに、貧富の格差がさらに広まったとも言われています。政治的平等は自由したが、経済的な自由は勝ち取ることはできなかったとの見方もあります。2013年12月5日、マンデラは95歳の生涯を閉じまた。彼の人生と共に、南アフリカの歴史を振り返るちょうどよいタイミングが今なのかもしれません。
▽Goodby Bafana Trailer