News135 モバイル版
…━━━━━★
菊は英語で?
★━━━━━…
英語を話していて難しいと感じるのは、文化や歴史的背景の異なる人に対して、日本のことを説明するときです。歴史や文化、風習などには、日常の英会話などではあまり使わない語彙や表現が多く含まれているからなのかもしれません。
例えば、「菊」の花は、英語でなんというでしょう?
chrysanthemum
発音も難しそうです。「クリサンセマム」?次のレッスンでぜひ、正しい発音を先生に確認してみてください。
2019年5月1日、この単語を目にした人も多かったかもしれません。日本で天皇の位を意味する「皇位」を英語では次のように表現します。
Chrysanthemum Throne
5月1日付けのCNNのニュースは、次のように報じていました。
“Japan’s new emperor, Naruhito, has formally ascended to the Chrysanthemum Throne, replacing his father, Akihito, who had abdicated a day earlier.”
(前日退位された父、明仁天皇に代わり、日本の新しい天皇、徳仁天皇が正式に皇位を継承されました)
- ascended to Chrysanthemum Throne 皇位を継承する
- abdicate 〔王・女王・天皇などが〕退位する
明仁天皇のおことばは、日本語と英語で宮内庁のHPに掲載されています。英訳とともに振り返ってみました。
2016年8月8日の「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」の中には、次のようなおことばがありました。
「次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」
“However, when I consider that my fitness level is gradually declining, I am worried that it may become difficult for me to carry out my duties as the symbol of the State with my whole being as I have done until now.”
(日本語)
http://www.kunaicho.go.jp/page/okotoba/detail/12#41
(英語)
http://www.kunaicho.go.jp/page/okotoba/detailEn/12#41
- my duties as the symbol of the State 象徴の務め
- one’s whole being 全身全霊、渾身
2015年には、「戦争法案」とも揶揄された「平和安全法案」、自衛隊が海外の紛争地で戦うことができるようにする法案が可決されました。
これと同じ年の2015年、毎年の終戦記念日における明仁天皇のおことばに、あるフレーズが新たに付け加えられました。「さきの大戦に対する深い反省」というフレーズです。この年以降、明仁天皇は毎年このフレーズのおことばを述べられています。
ここに過去を顧み,さきの大戦に対する深い反省と共に,今後,戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心からなる追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
“Reflecting on our past and bearing in mind the feelings of deep remorse over the last war, I earnestly hope that the ravages of war will never be repeated. Together with all of our people, I now pay my heartfelt tribute to all those who lost their lives in the war, both on the battlefields and elsewhere, and pray for world peace and for the continuing development of our country.”
(日本語) 全国戦没者追悼式、2015年8月15日
http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/okotoba/okotoba-h27e.html#D0815
(英語)
http://www.kunaicho.go.jp/e-okotoba/01/address/okotoba-h27e.html#0815
- remorse 悔恨(かいこん)、自責の念、深い後悔、良心の呵責
- bearing in mind the feelings of deep remorse over the last war さきの大戦に対する深い反省と共に
- ravages 破壊、荒廃、破壊の猛威、荒らされた跡、惨害、損害
- tribute (称賛・尊敬のしるしとしての)賛辞
また、即位後の徳仁天皇のおことばも、英訳とともに宮内庁のホームページに掲載されています。
ここに,皇位を継承するに当たり,上皇陛下のこれまでの歩みに深く思いを致し,また,歴代の天皇のなさりようを心にとどめ,自己の研鑽さんに励むとともに,常に国民を思い,国民に寄り添いながら,憲法にのっとり,日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い,国民の幸せと 国の一層の発展,そして世界の平和を切に希望します。
In acceding to the Throne, I swear that I will reflect deeply on the course followed by His Majesty the Emperor Emeritus and bear in mind the path trodden by past emperors, and will devote myself to self-improvement. I also swear that I will act according to the Constitution and fulfill my responsibility as the symbol of the State and of the unity of the people of Japan, while always turning my thoughts to the people and standing with them. I sincerely pray for the happiness of the people and the further development of the nation as well as the peace of the world.
(日本語)
http://www.kunaicho.go.jp/page/okotoba/detail/47#156
(英語)
http://www.kunaicho.go.jp/page/okotoba/detailEn/47#156
– His Majesty the Emperor Emeritus 上皇陛下
宮内庁は2月25日、「上皇」を英語で「His Majesty the Emperor Emeritus」と表すことを発表しました。「天皇陛下」を表す言葉「His Majesty the Emperor」に名誉職に退いたことを意味する「emeritus」が付け加えられました。
その他のご称号等については、同じく宮内庁の下記のページにまとめられています。ぜに、ご参考にされてください。
▽ご称号とお代替わりの基本用語
http://www.kunaicho.go.jp/kunaicho/koho/kohyo/pdf/kihonyogo-j-e.pdf
(※)関連リンク
敗戦の長い影
https://www.nytimes.com/ja/2019/04/29/world/asia/abdication-prince-akihito-japanese-translation.html
(英語)
The Long Shadows of a Failed War
https://www.nytimes.com/2019/04/29/world/asia/japan-abdication-prince-akihito.html