News105 モバイル版
…━━━━━★
「こつこつと勉強する」は英語で?
★━━━━━…
「こつこつと勉強する」「めきめき腕があがる」――
普段、何気なく使っている日本語でも、いざ英語で伝えようとすると、とても苦労することがあります。
そして、英訳するのが難しい日本語のひとつが、この「こつこつ」や「めきめき」のような擬音語(Onomatopoeia)・擬態語(mimesis)だと言われています。
日本語を学ぶ外国人にとっても、日本の擬音語・擬態語は理解するのがとても難しいそうで、これだけで一冊の参考書が存在するほどです。
特に難しいのは、犬の泣き声の音をそのまままねて「ワンワン」と表現するような聴覚的な擬音ではなく、例えば「てかてか」「メラメラ」のような視覚的な表現とか、「ざらざら」「ぬるぬる」のような触覚的な表現方法は欧米語には少ないので、その理解には困難を極めるとのことです。
ならば、欧米人向けの「日本の擬音語・擬態語」参考書の中に、英語を学ぶ私達にとっても役に立つ、ヒントが見つけられるかもしれません。
そこで早速、著書『Jazz Up Your Japanese with Onomatopoeia For All Levels』(Hiroko Fukuda 著)を調べてみました。
この本によれば、「こつこつと勉強する」は次のように英訳されていました。
(日本語例文)
「こつこつと勉強するのがどうも苦手で、いつも一夜漬けになっちゃうんです」
(英語訳)
I’m no good at keeping up with my studies. I always wind up pulling an all-nighter.(*1)
「こつこつ」に該当する部分は「~ keep up with my studies」。
「勉強しなければならない数々の課題に遅れをとることなく、機会を見つけては日々きっちりと学び続けている」という感じでしょうか。
では、「めきめき腕があがる」は、どんなふうに英訳されているでしょうか。
(日本語例文)
「書道を始めたとは聞いていたけど、あんまりめきめき腕が上がったんで驚いたよ」
(英語訳)
I heard she’d started doing calligraphy, but I was really surprised by how fast she’d gotten the hang of it.(*2)
「めきめき」は「how fast」(何という速さで~)という表現で伝えようとしていますね。
つまり、「こつこつ」「めきめき」の英訳に共通しているのは、その日本語に直接置き換えられる英単語はなく、別の言い回しで、英訳する必要があるということのようです。
ちなみに、「めきめき」には、「ものごとの程度が目に見えて進んでいくさま」という意味とは別に、「ものがこわれたり、きしんだりする音」という意味もあります。
「ジャックの豆の木」ではありませんが、植物などが陽の光りを浴びて急激に成長するさいに、伸びる茎の内側と外側がきしんで生じる音(実際はそんな音などしないのかもしれませんが)を、この「めきめき」という表現に重ね合わせていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、「こつこつ」には「地道に努力を積み重ねる」という意味の他に、「かたいものがふれ合ってたてる乾いた高い音」という意味もあります。
たとえば、毎晩勉強のため、机に向かい鉛筆でノートに書き物をする。
この時、鉛筆が机にぶつかって起きる音が「こつこつ」と聞こえる。「こつこつ」には、そんな語感があるような気がしています。
「keeping up with~」からは、「鉛筆と机の摩擦音」は聞こえてこないのが、ちょっと残念な気もします。
でも、いったんのこの音のことをは忘れて、「地道に努力を積み重ねる」を英訳しようとすることで、突破口が見つけられそうです。
レッスンでもぜひ、先生に日本の擬音語・擬態語について質問をしてみてください。
一レッスン一語でもよいでしょう。「こつこつ」と続ければ、「めきめき」と英会話が上達するかもしれません。
(*)参考図書
『Jazz Up Your Japanese with Onomatopoeia For All Levels』
(Hiroko Fukuda 著)
『擬声語・擬態語4500 日本語オノマトペ辞典』(小野政弘著)
(参考イディオム)
(*1)
wind up
おわりにする
pull an all-nighter
徹夜する
(*2)
get the hang of it.
こつをつかむ
☆本メルマガの送付先メールアドレスの変更をご希望の方、また配信停止をご希望の方は、メールにその旨とご使命を明記の上、unsubscribe-news@etc-eikaiwa.com宛てお送りください。