「沖縄の人にものすごく申し訳ない」は英語で?
『風の谷のナウシカ』『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』など数々の映画を手がけた宮崎駿監督が、7月13日、「辺野古基金」の共同代表就任について、自身のアトリエで外国特派員協会主催による記者会見を開きました。
会見の中で、監督が言葉を詰まらせ目に涙する場面がありました。
自身の体験に触れながら、沖縄の人々に対する思いを語ろうとしたときです。
「自分の大事な友人に沖縄の人がおりまして、この人が沖縄返還の年、1972年5月1日に返還されましたが、東京の大学に入るために4月28日にパスポートと黄色い伝染病の予防注射の紙を持って東京にやってきた。
その時にその人間が感じた、ありとあらゆる感情、非常に抑えたられた感想でしたが、その時の話を思い出すと、私は沖縄の人にものすごく申し訳ないと思っています。
ですから、この代表を引き受けることにしました」(宮崎駿氏会見より)
さて、外国人の記者に対してすらすらと英訳をされていた通訳の方が、「ここはとても英語に訳すのが難しいのですが」と、一瞬止まった箇所がありました。「申し訳ない」という単語です。
僕なら「I feel very sorry」等と単純な英語で訳してしまいそうですが、これだと、言葉を詰まらせ目に涙した監督の気持ちを伝えるには、あまりに物足りない英文であることは感覚的にもよくわかります。
会見では次のように訳されていました。
「I just feel such tremendous feeling of,
a word of 申し訳ない was very difficult to translate,
but I am sure all you know it means,
“there is no apology enough in a word that I can express the feelings that I had”
(『申し訳ない』という言葉は英訳がとても難しかったのですが、その意味については皆さんはご存知のことと思います。
その時の感情を表現できるような充分なお詫びの言葉さえ見つからない、とてつもなく大きな感情に包まれた。)
広辞苑によれば「申し訳ない」は「弁解の余地が無く相手にすまない」。
「I feel very sorry」では、「弁解の余地が無く」と意味合いが全く伝わらないのですね。
日本語ではよく使う「申し訳ない」という言葉ですが、よりたくさんの単語を重ねなければ、英語では伝わらない気持ちが込められているのことに気がついた、宮崎駿監督の会見でした。
関連リンク
▽映画監督宮崎駿氏会見動画
Hayao Miyazaki:
One of the key backers behind the Henoko Fund to block new U.S. base in Okinawa
☆本メルマガの送付先メールアドレスの変更をご希望の方、また配信停止をご希望の方は、メールにその旨を明記の上、unsubscribe-news@etc-eikaiwa.com宛てお送りください。