ドキュメンタリー『MIRACLE RISING: SOUTH AFRICA』でアフリカ英語
Ruth First(ルース・ファースト)は南アフリカ生まれのジャーナリスト、作家、そして反アパルトヘイトの活動家でした。起訴無しで90日間独房に監禁できる法を適用された最初の白人女性でもあります。
釈放後、南アフリカでの一切の活動を禁じられたためジャーナリストとしての仕事を続けることは不可能となったため、彼女はモザンビークに亡命します。1982年、彼女が教えていたモザンビークの大学に南アフリカ警察から封書が送られます。彼女が開封と共に爆発。小包爆弾でした。ルースは即死でした。
この事件の真相は、後の真実和解委員会(the Truth and Reconciliation Commission, “TRC”)で明らかにされます。TRCとはどのようなものなのでしょうか。『Miracle Rising South Africa』の中で、国家調査担当重役で1996年から1998までTRCの委員を務めたCharles Villa Vicencioが次のように説明しています。
出廷して我々に何をした話なさい。謝罪する必要されありません。自責の念も求められません。ただ出廷して何が起こったのかを明らかにし、起こったことを認めるのです。その見返りとして恩赦が与えられます。
ルースの暗殺を行ったのは南アフリカ警察のCraig Williamson(クレイグ・ウィリアムソン)。彼が出廷したTRCに同席した、ルースは三女Robyn Slovo(ロビン・スロヴォー)は、そのときの様子を次のように語っています。
To really talk the truth about having taken a human being’s life, you have to face to it and that’s very hard to live with yourself when you do that.
In a process of watching of applying amnesty for these deaths, I think I did find out the emotional truth what it happened. He in a way felt himself to be a victim.
He didn’t think my mother is his victim.
He didn’t seem to understand that he had taken a life.
私はクレイグ・ウィリアムソンが行ったことに関して真実を語ったとは思っていません。
人の命を奪ったという事実を本当に語るためには、人はそれに向き合わなければならず、それはとても困難に満ちた人生となるのです。
これらの死に対して恩赦を求める過程を見つめながら、彼の心の中の真実を理解することができたように思います。
彼は有る意味で自分が犠牲者だと感じていたのです。
犠牲者は私の母だとは思っていなかったのです。人の命を奪ったとういことを彼は理解していなかったようです。
ルースの次女で作家のGillian Slovo(ジリアン・スローヴォー)はTRCに関する小説『Red Dust』を発表し、後に映画化もされています。
許しがなければ、未来がない デズモンド・ツツ
怨恨に苦しみながらも、南アフリカの人々は許そうと今も努力していると感じます。そして、その葛藤の中から『Red Dust』のような作品が生まれているのかもしれません。南アフリカのTRCによる取り組みは、非暴力で紛争を解決するひとつの方法として、多くの学びがあります。今後も、人々の心の動きも含めしっかりと見つめていく必要があると思います。