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ビートルズの名曲が
生まれるまで
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In January 1969, a film crew was given unprecedented access to document The Beatles at work.
(1969年1月、ある撮影クルーにビートルズを記録する特別な許可が与えられた)
This resulted in over 57 hours of the most intimate footage ever shot of the band.
(そして、57時以上にも及ぶ彼らの最も親密な姿が撮影された。
The footage has been locked in a vault for over half a century.
(この映像は保管されたまま半世紀以上、封印されてきた…。
Unseen until now
(これまでは)
「The Beatles: Get Back」、Official Trailerより
2021年11月ディズニープラスで公開されたビートルズのドキュメンタリー映画「Get Back」は三部作からなり、合計7時間50分にも及ぶ長編作品です。
映像には「Get Back」「Let It Be」「The Long and Winding Road」「Something」等々、数々の名曲が生まれてくゆく仮定が記録されています。
ジョージ・ハリスン(George Harrison)の楽曲「Something」は、美しい旋律は出来上がっているものの、歌詞は半分もできていませんでした。
♪ Something in the way she moves
♪ あの娘の仕草の何かが
♪ Attracts me like a moth to candlelight
♪ ロウソクの灯りに吸い寄せられる蛾のように、僕を惹きつける
ジョージは「この続きの歌詞が出てこない」と、ポール・マッカートニー(Paul McCartney)に「何が僕を惹きつけるのかな?」かとアドバイスを求めます。
ポールの代わりに、ジョン・レノン(John Lennon)がこんなアドバイスをします。
Just say whatever comes into your head each time.
“Attracts me like a cauliflower, ”
until you get the word, you know?
なんでもいいからその都度頭に浮かんだものを入れておいて、
たとえば「カリフラワーのように、僕を惹きつける」とか
それで、後で考えればいいんだよ
ジョンのアドバイスには不満なのか、ジョージは「でも、もう半年くらい考えている」と訴えて、ひとまず次のように歌います。
「ザクロ」が頭に浮かんだのでしょうか。
♪ Attracts me like a pomegranate
ザクロのように惹きつける
「Something」は最終的に次のような歌詞となり、アルバム「Abbey Road」(アビー・ロード)に収められました。
翌年にはジョージの曲ではビートルズ公式で初めてシングルカットされ、全米で1位、英国で最高4位を記録しています。
♪ Something in the way she moves
♪ あの娘の仕草の何かが
♪ Attracts me like no other lover
♪ 他の人に無いほど、僕を惹きつける
ポールの名曲「The Long And Winding Road」も、2番の歌詞が空白のままでした。
「天候に関する障害の言葉を考えてるんだけど」というポールは、こんなふうに仮の歌詞で歌っています。
♪ The storm clouds and the rain
♪ Break upon the winding road
♪ 雷雲や雨が
♪ 道の先で散り散りになる
ポールの傍らで、新曲の歌詞ずっと書き留めていたロード・マネジャーのマル・エバンス(Mal Evans)は、「君のドアに黒い雷雲が集まる」(The black and stormy rainclouds will gather `round your door`)ではどうだろうかと提案します。
これに対してポールは、自らの頭の中にあるイメージを伝えます。
I suppose it should still be about that.
The, sort of, winding road because…
曲がりくねった道についての歌詞にしたいんだ
I’ve just got the picture.
画が浮かぶんだよ
「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」は、アルバム「Let It Be」の中に、次のような歌詞となって発表されています。
♪ The wild and windy night that the rain washed away
♪ 風の強い夜は、雨に洗い流され
♪ Has left a pool of tears crying for the day
♪ 一日中泣きはらした、涙の水たまりを残していった
当初のポールのイメージに近い歌詞が完成したのでしょうか。
「強い風」「大雨」など、「天候に関する障害の言葉」が表現され、道端にできた「涙の水たまり」が歌われています。
作詞、作曲に限らず、すべての作品作りは、自分の頭の中に表れては消えてゆく一瞬の画を捕まえて、他の人に伝わるような言葉、旋律、絵図、造形、動き、そして身体的表現等に置き換えてゆく作業なのかも知れません。
すでに頭の中にイメージはあるのに、肉体を介さなければならないがために、他者とは簡単に共有できないというもどかしさに苦しめられたり、天から振ってくるように次から次へと溢れるように作品が生み出されみたり。
その過程は様々でしょう。
創作活動をする全ての方、そして今年も素晴らしい作品との出逢いあるよう支援をされる方々に敬意と感謝を込めて。2022年も実り多き良き年となりますように。
(*)関連リンク
マイク先生(新小岩)が、RadioETC/Podcastingでビートルズにまつわる数々のエピソードについて、楽しくお話をしています。
ぜひご視聴ください。
リンクは下記のインタビューページに最後にあります。
https://etc-eikaiwa.com/teachers/post_84.html