映画 Australia でオーストラリア英語
イギリス人貴族のサラは、夫の牧場を売却するため、オーストラリアのノーザン・テリトリーにやってきます。しかし、夫は既に何物かによって殺害。代わりに彼女が牧場を経営しようとしますが、大牧場主のカーニーや元雇人のフレッチャーの妨害をうけてしまいます。そこで彼女は、牛追いのドローヴァー、牧場で働くアボリジニ、中国系移民の助けを駆りながら危機を乗り越えて行きます。
そんな時、息子同様にかわいがっていた、アボリジニと白人のハーフ、ナラが捕らえられ、混血児隔離・同化政策によりミッションアイランドに強制収容。そこに日本軍の空爆が行われます。 一部史実と異なる部分はあるようですが、日本の戦闘機にオーストラリアの人々が襲われるシーンでは、胸が痛くなりました。
さて、オーストラリア英語にはどのような特徴があるのでしょうか。『世界の英語は映画で学ぶ』(山口美知代 編著書)では、この映画を題材にしながら次のように紹介されています。
一般的にオーストラリア英語は次の三つに分類されているようです。
1) Cultivated Australian Accent
「教養のあるオーストラリア英語」 – オーストラリア英語の音声的特徴が一番少ないもの
2) General Australian Accent
「一般オーストラリア英語」 – オーストラリア英語の音声的特徴が中程度でたもの
3) Broad Australian Accent
「ブロード・オーストラリア英語」 – オーストラリア英語の音声的特徴が一番強くでたもの
発音的には、主に次のような特徴があるそうです。
・dayなどの母音が[eɪ](エイ)ではなく[aɪ](アイ)となる
・seeなどの母音が[iː](イー)ではなく二重母音[aɪ](アイ)となる
・bootなどの母音は/uː/(ウー)ではなく[əʊ](アウ)となる
・townなどの二重母音[aʊ]の最初の音が[æ]に近づきテウンのようになる
・Darwinなどの第二音節では[ɪ]のかわりに[ə]となり、ダーウィンではなくダーワンのように聞こえる
▽『The Sounds Of Aus』(ABC/2007年)
では、映画『Australia』のメイキング映像を観てみましょう。監督のBaz Luhrmann、スーパーバイジング・サウンド・デザイナー Wayne Pashley、プロデューシング・サウンド・ミキサー Guntis Sics、フォーリー・アーティストSimon Hewettなどが出演されています。みなさんオーストラリア出身。Broad Australian Accentの方はいらっしゃらないようですが、ややアクセントの深さがやや違うようです。
Guntis Sicsさんの”basically”、”main”、などの発音を注意して聞いてみてください。[eɪ](エイ)が[aɪ](アイ)となり、「バイシカリー」、「マイン」、と言っているように聞こえます。
▽Australia – Behind the scene
(*) 参照図書
世界の英語を映画で学ぶ (山口美知子 編著)