機内安全ビデオに豪華映画俳優が続々登場する理由
(救命胴衣はお座席の下か横にございます)
頻繁に海外渡航をする方には、見慣れてしまったかもしれない機内安全ビデオ。でも英大手航空会社ブリティッシュ・エアウェイズ(以下、BA)のビデオはちょっと違います。
映画『ロード・オブ・ザ・リング』、『X-Men』等に出演しているイアン・マッケラン(Ian Mckellen)、『それでも夜は明ける』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたキウェテル・イジョーフォー(Chiwetel Ejiofor)、そしてテレビドラマ『Xファイル』の主演女優ジリアン・アンダーソン(Gillian Anderson)等々、英国の有名俳優が次から次へと登場するのです。
ビデオはメイキング映像仕立ての内容で、監督に扮するはコメディアンのアシム・チョードリー(Asim Chaudhry)。大俳優たちがまるで経験未熟なエキストラであるかのような上から目線で、迷監督は撮影を進めてゆきます。
Asim: And have you done any safety videos before?
(アシム:今まで安全ビデオに出演した経験は?)
Chiwetel: No, only feature films
(キウェテル:ありません。長編映画だけです)
Asim: Well this could be your big break ok mate, so don’t mess it up.
(アシム:これは君にとって大チャンスになるかもしれない。しくじるなよ)
この楽しいビデオが実際に機内で放送されるのは2017年9月1日から。でも、一足先に下記のBAのサイトでご覧いただけます。英語の「ビデオ台本」も掲載されていますので、うまく聞き取れない箇所はテキストでチェックすることができます。
▽British Airways safety video – director’s cut
ビデオの最後の登場するのは『Mr.ビーン』ことローワン・アトキンソン(Rowan Atkinson)。誤って機内にばら撒いてしまった小銭を、シートの下にもぐったりして、一枚一枚大騒ぎで拾い集めて封筒へ。生活に困窮する世界各地の子どもたちに送られる募金用封筒です。
これはBAが、チャリティー団体「コミック・リリーフ」(Comic Relief)と共同で行っている募金活動です。
同団体の創設者は脚本家・映画監督であるリチャード・カーティス(Richard Curtis)らで、1985年に設立されました。彼は『Mr.ビーン』(Mr. Bean)、『ノッティングヒルの恋人』(Notting Hill)、『ブリジット・ジョーンズの日記』(Bridget Jones’s Diary)の脚本や、『ラブ・アクチュアリー』の監督兼脚本など、数々の人気作品を生み出してきました。
「コミック・リリーフ」の目玉イベントは、2年に一度3月に開催される「レッド・ノーズ・ディ」(Red Nose Day/赤鼻の日)です。「ピエロのような赤鼻をつけて人を笑わせよう」「そして、その赤鼻の売上は募金に」。
つまり「楽しみながらチャリティを」というのが「レッド・ノーズ・ディ」のコンセプト。この日はCBBC(英国公共放送の子どもチャンネル)で長時間特別番組が放送され、募金を呼びかけています。