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アカデミー賞で英会話
「inclusive」の意味は?
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「BAFTAs So White(BAFTAは白すぎる)」
BAFTAはBritish Academy of Film and Televison Arts の略。通称英国アカデミー賞。例年米国アカデミー賞の前に開催されることから、米国の結果を占う賞としても注目されています。
2020年度のBAFTAは、俳優部門の候補20人が全員白人。
さらに監督賞の候補が全員男性だったことから、「多様性を無視している」と批判されていました。
2月2日に開催されたBAFTA授賞式に出席したウィリアム王子は、スピーチでこの問題について触れました。
“Both here in the UK and in many other countries across the world we are lucky to have incredible film makers, actors, producers, directors and technicians – men and women from all backgrounds and ethnicities enriching our lives through film,”
「幸運なことに、ここイギリスにも、他の多くの国々にも素晴らしい映画人、俳優、プロデューサー、監督や技術者がいます。様々な経歴と民族性を持つ男性と女性が映画を通してわたしたちの人生を豊かにしてくれています」
“Yet in 2020, and not for the first time in the last few years, we find ourselves talking again about the need to do more to ensure diversity in the sector and in the awards process – that simply cannot be right in this day and age.”
「しかし2020年だというのに、私たちは映画界、そして賞の選考過程で多様性を確実に実現するためにまだまだやるべきことがあると議論しているのです。
この事態はこの数年で初めてというわけではありません。今の時代、これは正しいことではありません」
(diversity : 多様性)
▽Duke of Cambridge Jokes About ‘The Crown’ at the BAFTAs
https://youtu.be/FF0JJQZNSc0
映画『Joker(ジョーカー)』で主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックス氏はその受賞スピーチで、自身のキャリアを応援してくれたBAFTAに感謝の意を表明します。
その上で白人だけがノミネートされた俳優賞に対して痛烈な批判を行ないました。
そしてその批判は自分自身のこれまでの行いにも向けられました。
“This is not a self-righteous condemnation, because I’m ashamed to say that I’m part of the problem.
I have not done everything in my power to ensure that the sets I work on are inclusive. ”
「これは私だけが正しいとして批判を行なっているわけではありません。
なぜなら私自身こそがこの問題に加担する一人として恥ずかしいと感じているからです。
これまで自分が働いてきた現場すべてで、インクルーシヴ(多様性の尊重)を意識して最大限の努力をしてきたかと言われればそうではありませんので」
(self-righteous:
独善的な、自己中心的な、独り善がりの)
(condemnation:
激しい非難、糾弾)
inclusive:
(〔組織や会議などへの参加が〕一部の人の制限しない、いろいろな人が参加できる
対語exclusive)
▽Joaquin Phoenix Delivers Powerful Speech After Leading Actor Win for Joker | EE BAFTA Film Awards
https://youtu.be/hAh0FSfc4Ls
オーストラリア出身の女優でコメディアンのレベル・ウィルソン(Rebel Wilson)さんは、監督賞紹介のプレゼンテーターとして登場。
自身が出演した映画『キャッツ(Cats)』は英国では酷評で同賞では全くノミネートは無し。
「この賞に猫が一匹もノミネートされていないのはおかしい!」という自虐ネタから始まり、マスクの形をしたBAFTAのトロフィーはコロナウィルスの予防に使えるなどといったモノボケを披露しつつ、会場を爆笑の渦に。
そして下ネタも交え、ノミネートされたのが男性ばかりの監督賞をこんなスピーチで皮肉りました。
“Sam Mendes, Martin Scorsese, Quentin Tarantino, Bong Joon-ho.”
「サム・メンデス監督。マーティン・スコセッシ監督。トッド・フィリップス監督。クエンティン・タランティーノ監督、ポン・ジュノ監督」
“I look at the exceptional daring talent nominated in this category, and I don’t think I could do what they do.
Honestly, I just don’t have the balls.”
「監督賞にノミネートされた皆さんの類いまれで斬新な才能をあらためてご覧ください。
彼らのようなことを私が成し遂げることなど到底考えられません。
正直に言いますが、私には度胸(睾丸)がありませんから」
(balls:度胸、睾丸)
ballsは「度胸」を表すとともに、「睾丸」の意味もあります。会場が大爆笑となりました。
▽Iconic Moment when Rebel Wilson Delivers Funny, Incredible Speech | EE BAFTA Film Awards 2020
https://youtu.be/Fg3-5Longzg
映画好きの方にとっては、アカデミー賞でのスピーチは、丁寧な言い回しから、かなり際どい下ネタまで、英語を学ぶための格好のネタの宝庫かもしれません。
好きな俳優や興味のある映画の監督の話しの中から、気になった表現やわからない単語を調べて、楽しみながら学んでみてはいかがでしょうか。